2019年6月20日(木)

国産果実、10年で3割高 輸入品も人件費増で上昇

2018/10/19 11:30
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リンゴやミカンなど秋の果実が旬を迎えた。東京都中央卸売市場の10月上旬の国内果実の平均卸値は、前年同期比で11%高の1キロ374円となっている。今年は猛暑や台風などの影響が大きかったものの、過去10年をみると国内果実の卸値は3割上がった。離農が進み供給が減っているのが要因だ。輸入果実も人件費の上昇などで2割高くなっている。

果物は年々値上がりしている。(東京・足立のスーパー、さわみつ青果北千住店)

果物は年々値上がりしている。(東京・足立のスーパー、さわみつ青果北千住店)

「離農者が絶えない。一気に40人ほどがやめた年もある」。山形県内の地元JAの担当者は肩を落とす。毎年、ブドウなどを栽培する果樹園の面積が1~5%ほど減り続けている。

生産現場の高齢化が進む一方、後継者不足で離農者の増加に歯止めがかからない。農林水産省の統計によると果樹栽培の面積は16年までの10年間で12%減少した。17年の国産果実の卸値は全国市場の平均で1キロ373円。供給減により10年間で35%も高くなった。

値上がりは輸入品も同様だ。輸入果実の17年の平均卸値は1キロ224円と、10年間で22%上昇。頻発する世界的な異常気象のほか「新興国を中心に人件費が上がっている」(輸入商社)。東南アジアをはじめとする生産国の人件費の上昇が、輸入果実の価格にも転嫁されている。

価格の上昇を受け、輸入量も年々減少している。財務省貿易統計によると、果実(生鮮・乾燥)の1~8月の輸入量は18年までの10年間で35%減った。輸入果実を扱う東京・大田の仲卸は「価格が上がり、商社が買い控えするようになった」と話す。

国産、輸入品とも値上がりが続き消費者の果実離れも進んでいる。農水省のまとめでは、17年までの10年間で果実の国内消費量は15%減少した。東京都内のスーパー、アキダイ(東京・練馬)の秋葉弘道社長は「お菓子など甘い商品が充実し、高くなった果物を消費者が日常的に食べなくなった」と話す。果物は主食や副食となるコメや野菜と異なり、「ぜいたく品」に分類される。価格の高止まりで果実の日常的な消費がますます減退している。

一方、贈答用の需要は伸びている。都内のスーパー、コモディイイダ江戸川橋店(東京・文京)の浦沢一也店長は「6000円前後の価格帯の消費が伸びている」と話す。高価格帯の果実はギフト向けが中心。一人暮らし世帯や高齢世帯の増加で量よりも質を重視するニーズが伸び、ブランド力を持った高価な果実が売れている。

輸出の増加も国内供給の減少に拍車をかける。財務省貿易統計によると、果実(生鮮・乾燥)の輸出量は17年までの10年間で15%増えた。国内市場の品薄傾向が進み、更に値上がりすれば日常的に口にする果実はますます高くなる。「一般消費者の果実離れが加速しかねない」(国産果実を扱う東京・大田の仲卸)との懸念もある。(高野馨太)

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