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Jリーグ四半世紀、企業を本気にさせ新たな段階へ
FIFAコンサルタント 杉原海太

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2018/10/19 6:30
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1993年に本邦初のサッカーのプロリーグとしてスタートしたJリーグは誕生から四半世紀がたった。日本のスポーツ界に革命を起こしたJリーグの意義をかみしめつつ、これからの「J」の在り方について思うところを述べてみたい。

俗に「オリジナル10」と呼ばれるクラブ数でJリーグが始まったとき、清水エスパルスを除く9クラブは、日本リーグ時代から企業内の部活動としてサッカーと縁のあるところばかりだった。

「ソーシャルビジネス」を先取り

しかし、「地域密着」を理念にうたうJリーグが爆発的なブームを呼ぶと次々に賛同者が現れ、今ではJ1、J2、J3合わせて54ものクラブが存在する。その中には札幌や新潟のように、日本リーグ時代からの大きな責任企業(昔風にいうならば親会社)を持たずに、地元の企業やメディアに支えられながら地域のリソースをフル活用して地域のアイコンになったクラブもある。

鳥栖に勝利し、サポーターにあいさつする札幌イレブン。コンサドーレ札幌は地元に支えられ地域のアイコンになった成功例といえる=共同

鳥栖に勝利し、サポーターにあいさつする札幌イレブン。コンサドーレ札幌は地元に支えられ地域のアイコンになった成功例といえる=共同

J1なら30億円前後の収入で経営されている、それら地方のクラブは、学生スポーツか企業スポーツしかなかったこの国のスポーツ界にこつぜんと現れた。町おこしという意味でも新たなビジネスの創出という意味でも、これは画期的なことだった。計画段階を含めると30年近く前にそうした構想を唱え、具現化したことは、Jリーグ最大の功績だと思っている。

今でこそ、社会課題を解決する活動をビジネス化し、持続可能にしていくことを「ソーシャルビジネス」と呼んで、若い経営者を中心に強い関心を持たれるようになったけれど、Jリーグが果たしたことはその完全な先取りのように思える。Jリーグが唱える地域密着は「地方創生」として今の時代にも求められていること。その先見性には本当に驚くばかりだ。

一方で気になることがある。大きな責任企業を持つクラブの現在の立ち位置である。

それら責任企業のほとんどは世界に冠たる大企業であり、日本リーグ時代のサッカー部をJクラブに発展させて日本サッカーのプロ化を成功させる原動力になってくれた。それらの企業がJリーグ創設に協力したのは、計画段階ではバブル経済がはじける前で、CSR(企業の社会的責任)としてJクラブをバックアップするだけの余力がまだ日本企業にあったことが一因だといわれている。

Jリーグにとっては非常にありがたいことだろう。しかし、大都市と大企業を後背地に持つクラブが50億円ほどの収入で切り盛りされているのを見ると、私個人は「もっとやれるのではないか」「責任企業を本気にさせることができたら、今以上のビッグクラブをつくれるのではないか」と、どうしても思ってしまう。

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