2019年5月27日(月)

KYB、不正疑い物件名公表へ 19日午後にも

2018/10/17 19:27 (2018/10/17 21:11更新)
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油圧機器メーカーのKYBによる免震・制振装置の検査データ改ざん問題で、同社は17日夜、不正の疑いのある986件のうち、所有者などの了解が得られた住居などの物件名を19日午後に公表することを明らかにした。先駆けて物件名などを公表した自治体は17日午後9時半の集計で19都道府県と39市の計58自治体に上っており、同社の対応は後手に回っている。

大阪府庁本館で使われているKYB子会社製の免震装置(17日)

16日にデータ改ざんを発表した同社は物件名について「所有者などの了解が得られていない」と公表していないが、国土交通省には物件名などを報告。同省は建築基準法を管轄する都道府県や大規模の市など特定行政庁に民間物件を含めて伝えたため、17日は同社に先んじて公表する自治体が相次いだ。関係者は「早く全容を明らかにしてほしい」と憤っている。

「しっかり確認して対応したい」。東京都では担当職員が施設の確認に追われた。東京・新宿の第一、第二本庁舎では、データ改ざんの疑いのある制振用のオイルダンパー214本を設置済みだったことが判明。工事を進める施工業者に、不正の影響の有無や安全性の確認を急きょ求めた。

都によると、2020年東京五輪・パラリンピックの競技会場となる五輪水泳センター(江東区)のほか、消防施設や都立病院でも不正の恐れのある装置が使われているという。

都では11年の東日本大震災で、長周期地震動により地上48階建ての第一本庁舎などでエレベーターが全基停止した苦い経験もある。対策として20年までに、制振装置を設置するなどの改修工事を進めている最中だった。KYB側から直接連絡がないなか、担当職員は「まず自分たちで安全を確認するのが第一だ」と強調した。

大阪府の庁舎では2013~16年に施工した12基のオイルダンパーでデータ改ざんの疑いがある。同社には事実確認や製品の交換といった補償について説明を求めているものの、メーカー側の対応のめどはたっていないようだ。

6月には大阪府北部で震度6弱の地震が発生している。松井一郎知事は同社に対し「命に関わると認識してほしい」と語気を強めた。庁舎整備課の担当者も「メーカー側の早急な対応を求める」と話した。

大分県では15年開館の県立美術館(大分市)など計5物件でデータ改ざんの疑いがある免震用オイルダンパーが使われていた。

KYBによると、免震・制振装置は国内シェアトップの約45%を占めている。同県の担当者は「20年近くも改ざんをしていたなんて衝撃だ」と驚きを隠さなかった。

庁舎より物件数が多いのは住居や医療・福祉施設だ。同社は「所有者の了解を得られていない」として物件名を公表していないが、19日午後に了解を得られた物件名を公表する予定だ。

「免震の建物を一緒に開発した当事者として困ったな、と思う」。名古屋大学の防災研究拠点「減災館」(名古屋市)はKYB製の免震装置8本を使用。14年の開館以来、人工的に建物を揺らす実験を繰り返してきた。名大の福和伸夫・減災連携研究センター長は「安全性の面は心配していないが、世界トップの製品を納める最も信頼していたメーカーだけに残念で仕方ない」と憤った。

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