東電元副社長、元部下証言と対立 被告人質問で

2018/10/17 17:48
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福島第1原子力発電所事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力旧経営陣3人の公判が17日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。武藤栄元副社長(68)は2日間の被告人質問で、「武藤氏が対策を先送りした」などとする元部下らの証言を繰り返し否定。「最善の努力をしてきたつもりだが、事故を防ぐのは難しかった」と主張した。

初公判以来31回に及ぶ公判では、東電側の社員や元社員が法廷で証言。巨大地震を巡る政府機関の長期評価(2002年公表)に基づく試算で、最大15.7メートルの巨大津波が襲来すると報告を受けた武藤氏が一度は防潮堤設置の手続きなどを調べるよう指示しながら、方針転換して対策を見送ったなどと証言していた。

これに対し、武藤氏は08年2月の会議で津波の簡易試算結果を記載した資料が配布された点を問われ、「説明を受けていない」と回答。元社員らはこの会議で「長期評価に基づいて津波対策する方針が了承された」と述べたが、武藤氏は「会議は何かを決める場ではない」とした。

元社員は08年6月に最大15.7メートルの津波が襲来するとの試算結果が報告された際、武藤氏が「(試算の)水位を下げられないか」と発言したと証言した。武藤氏は「絶対にありえない。私が言うわけがない」とこの証言を強く否定。防潮堤設置の手続きを調べるように指示したが、「対策すると決めたわけでは全くない。自分には決定権限はなかった」と反論した。

翌7月に長期評価の妥当性を土木学会に検証してもらうよう指示したことに関しては「対策先送りと言われるのは大変心外。学会への依頼は適正な手続きだった」と述べた。

事故直前の11年3月7日には原子力安全・保安院(当時)から津波対策の不備を指摘されたことを社員がメールで報告している。宛先には武藤氏も含まれていたとされるが「メールソフトを確認したが届いてない」と否定した。

原発事故をめぐっては武藤氏のほか勝俣恒久元会長(78)と武黒一郎元副社長(72)が強制起訴された。19日に武黒氏、30日に勝俣氏への被告人質問が予定されている。

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