2018年11月14日(水)

ドローン、趣味から商用へ離陸 ソニー系がデモ飛行

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2018/10/17 17:12
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ドローン(小型無人機)をビジネスに活用しようという機運が高まっている。スタートアップを中心に、機体や運用サービスの開発が活発になってきた。今までは空撮が主な用途だったが、測量や点検、配送など活用の場面が広がっている。人の目が届かない所でも飛行が一部可能になるなど、政府主導のルール整備も後押ししている。

エアロセンスが公開した測量用のドローン(17日、千葉県)

エアロセンスが公開した測量用のドローン(17日、千葉県)

ソニーとZMPが設立したエアロセンス(東京・文京)は17日、測量用ドローンのデモ飛行を公開した。「エアロボ測量」は、パソコンで設定したルートを自動で飛行。上空から撮った複数の写真をクラウド上で3次元データとして再構成する。3代目となる新機種では防水・防じん機能を新たに追加し、土木工事や外壁点検の現場で使いやすい仕様にした。使いやすさを重視し、誰でも簡単に自動飛行を設定できるようなプログラムも併せて開発した。今後、受注活動を始める。

ドローンの機体の世界シェアは中国DJIが7割を握るとされる独占状態だ。ただ、安全性や姿勢制御といった技術面では進化途中の部分も多いなか、国内のスタートアップも気を吐いている。ドローン開発のエアロネクスト(東京・渋谷)が3月に開発した新機種は、プロペラが揺れても搭載物の揺れを大きく抑えた構造が特徴だ。上空からぶれずにカメラ撮影できたり、荷物を傾けずに運べたりできる。

16日に開幕したあらゆるモノがネットにつながるIoTの見本市「CEATEC(シーテック)ジャパン2018」では経済産業大臣賞を受賞。10月上旬に開いたスタートアップ業界の大型イベント「Bダッシュキャンプ」のビジネスコンテストでも優勝した。エアロネクストの田路圭輔社長は「耐風性や安全性、航空時間など、ドローンの長年の課題を克服した」と胸を張る。

ドローン開発が活発になっている背景には、国の規制緩和がある。国土交通省は9月、「目視外飛行」についてのガイドラインを施行した。従来はグレーゾーンだった人の目が届かない場所での飛行が、無人地帯に限り解禁されたかたちだ。ドローンで災害現場や山間部に物資が運べるよう、2018年度内の環境整備が急ピッチですすんでいる。

エアロセンスの嶋田悟最高執行責任者(COO)は「明確なルールができたことで安心して色々なことができるようになった」と語る。ドローンを人の操縦ではなく自律飛行によって飛ばすことで初めて活用できる場面もある。長距離間の配送だけでなく、森林管理や夜間の線路点検、建材運搬など、可能性は幅広い。エアロセンスは17日、測量用に加えて配送を想定した垂直離着陸型機(VTOL)の開発機も公開した。

ドローンは空撮を目的とした趣味の領域から、あらゆる産業で活用できる商用の段階に入り始めている。インプレス総合研究所の推計によると、ドローンビジネスの国内市場規模は24年度には3711億円と17年度の7倍に達する。18年度は橋梁やトンネル、ビルなどインフラ点検での活用がすすむとみる。

世界ではドローン開発競争が激化している。米国は17年末から自治体ごとに目視外飛行のルール緩和を認めており、アマゾン・ドット・コムなどが配送実験をしている。規制が少ない中国は山間部ですでにドローン配送の定期便が運航。人口が密集する特区での配送実験も先行する。

日本に商機はあるのか。ドローン関連事業に特化して投資するドローンファンドの千葉功太郎代表は「今のルール作りが進めば世界でも画期的。ハードとソフトの組み合わせで勝負できる」とみる。ドローンビジネスは機体だけでなく、管制システムやハッキングを防ぐ仕組みなど、関連分野が広い。スタートアップのエアリアル・ラボ・インダストリーズ(東京・港)は機体の開発と同時に、ドローンを個別に認証するブロックチェーン技術を磨く。

千葉氏はドローンの今後の課題について「国内世論の厳しさ」とみる。日本は都市部で頭上をドローンが飛ぶことに対する抵抗感が強いという。墜落や衝突リスクから開発に本格的に踏み切れない企業も多いのも現状だ。法整備が先にすすむなか、幅広い業界による参画が待ったなしになっている。

(薬文江)

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