ブラジル大統領選、極右候補への支持相次ぐ
中道議員、埋没危機感で

2018/10/17 18:00
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【リオデジャネイロ=外山尚之】28日投開票のブラジル大統領選の決選投票で、極右で軍出身のジャイル・ボルソナロ下院議員(63)が優位に選挙戦を進めている。7日の第1回投票で得票率46%と過半数に迫り、決選投票に向けた世論調査でも同氏の支持率は59%に達した。一方、第1回投票で得票率29.3%だった左派のフェルナンド・アダジ元サンパウロ市長(55)は左派陣営の結集を進めるが、一枚岩になりきれない。

11日、記者会見に出席するボルソナロ氏(リオデジャネイロ)=AP

大手調査会社IBOPEが15日発表した世論調査で、ボルソナロ氏の支持率は59%と、アダジ氏の41%を大きく上回った。女性や黒人、同性愛者への蔑視発言が響き、ボルソナロ氏は支持率を不支持率が上回る状態が続いていたが、風向きが変わりつつある。

勝ち馬に乗ろうと政界ではボルソナロ氏への支援を表明する政治家が相次ぐ。中道右派の有力政党、民主党(DEM)のアントニオ・マガリャンエス・ネト党首は10日、「(アダジ氏の所属する)労働党(PT)を支援することはできない」と、個人としてボルソナロ氏支持を表明。「彼の考えに百パーセントの同意はできないが、PT政権に戻ることは百パーセント支持できない」と述べた。

DEMは第1回投票でブラジル社会民主党(PSDB)ら中道政党と超党派の「セントロン」(中道連合)を形成。経済界が支援するジェラルド・アルキミン前サンパウロ州知事(65)を応援していた。

セントロンに参加する各党とも決選投票は中立とし、個々人の判断に任せるとしている。過去に反政府勢力を弾圧した軍政を称賛するボルソナロ氏を支援できないとするが、アルキミン氏が所属するPSDBでもジョアン・ドリア前サンパウロ市長らを中心に、ボルソナロ氏への支持表明が相次ぐ。

7日に同日選となった議会選でボルソナロ氏が所属する社会自由党(PSL)は下院で選挙前から44議席増の52議席と、同院第2勢力となった。セントロンに参加した多くの中道政党はあおりを受け、大きく議席を減らした。所属議員の間で、埋没への危機感は強い。28日には州知事選の決選投票もあり、追い風を期待してボルソナロ氏支持を表明する例も多い。

ボルソナロ氏は経済政策では財政健全化や国営企業民営化などを掲げており、テメル政権の改革路線と似通う点も多く、中道陣営の議員にとって支持しやすい。

アダジ氏は左派陣営の結集を呼びかけるが、順風とは言い難い。第1回投票で得票率12.5%で3位だったシロ・ゴメス元財務相(60)が所属する左派の民主労働党(PDT)は「アダジ氏支持を宣言する」という声明を発表したが、当のゴメス氏は選挙キャンペーンには参加しない。

同じく大統領選に出馬したマリナ・シルバ元環境相(60)の所属政党も「ボルソナロ氏には投票しないが、アダジ氏も支持しない」と表明し、距離を置く。

アダジ氏は汚職で有罪判決を受け収監中のルラ元大統領(72)の後継者として出馬する。国民の間で歴代左派政権の汚職に対する拒否感は強く、汚職根絶を訴えるボルソナロ氏が支持を集める原因となった。アダジ氏を支援すれば将来の自身の選挙戦に響くとの懸念があり、極右台頭という状況下でも左派はまとまりきれていない。

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