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ウルグアイも圧倒 日本代表、早くも「森保色」に

サッカージャーナリスト 大住良之

「チームコンセプトのもと、選手たちは個の力を発揮してくれた」

10月16日、埼玉スタジアムで強豪ウルグアイを相手に4-3で勝利をつかんだ後、日本代表の森保一監督は試合の重要なポイントとしてこんな話をした。

チームコンセプトも個の力があってこそ

「チームコンセプト」という用語を端的に説明するのは難しいが、「チームとしてやろうとしているサッカー、チームの約束ごと、決めごと」などととらえればそう遠くはないだろう。

攻守の切り替えの速さ、互いの距離感、ボールを奪ったら素早く前方に出し、サポートにつき、相手に守備組織をつくらせずに攻め切る。攻守ともにチームとして連動し、守備では全体をコンパクトに保ってはっきりとしたチャレンジとカバー、攻撃では速いテンポのパスとボールなしのランニングを組み合わせたコンビネーションでの突破……。

ウルグアイに勝利し、ベンチで選手と握手する森保監督=共同

すべて現代サッカーの常識と言っていいことだが、森保監督は例外をつくることなく、チーム全員にそれを求める。だがそれだけではチームは躍動しない。局面局面では、個々の選手たちが自分の長所をフルに生かして果敢に勝負に出ることで、「チームコンセプト」はよりいっそうの力をもつ。

言葉にすれば、ごく当然のことのように聞こえるかもしれない。しかしそれをバランスよく実行するのは決して簡単ではない。

ところが実際に活動を始めて2カ月目、3試合にして、森保監督は早くもチームに「コンセプトと個の力」の絶妙なバランスをもたらした。すなわち「森保色」に染め上げてしまったのだ。

北海道を襲った地震でチリ戦を開催することができず、コスタリカとの1試合だけとなった9月の活動では、先のワールドカップで中心となった選手たちの招集を見送り、国内組と若手の海外組を中心にチームを組んだ。そしてパナマ、ウルグアイと対戦した「10月シリーズ」では「フルメンバー」といっていいチームを招集。国際サッカー連盟(FIFA)ランキング5位のウルグアイとの一戦を「現時点の力を試す最高の機会」と想定し、パナマ戦はいわば「サブメンバー」で戦った。

そのパナマ戦も、小林悠と浅野拓磨がけがで辞退したこともあり、前線にはワントップに大迫勇也、トップ下に南野拓実という「レギュラー組」を起用し、南野の先制点が効いて3-0で勝利を飾った。

そして大迫と南野以外の9人を入れ替えて臨んだウルグアイ戦は、タフな守備力では世界でもトップクラスのウルグアイをきりきり舞いさせる攻撃を見せた。その中心となったのは、20歳の堂安律、23歳の南野、そして24歳の中島翔哉が組んだ「ポスト・ロシア」世代の2列目トリオだった。

ウルグアイ戦で、自身2点目のゴールを決め、中島(右)に祝福される南野。輝いたのは「ポスト・ロシア」世代だった=共同

試合は10分に南野のゴールで日本が先制。4日前に韓国に1-2で敗戦を喫しているウルグアイは、「連敗するわけにはいかない」とばかりに、激しい当たりで日本の攻撃を止めようとした。しかしこの3人は見事な個人技でその当たりに耐え、その個人技に酔うことなく次の瞬間には見事なコンビネーションプレーで相手の守備をいなしたのだ。「チームコンセプトと個の力のバランス」をこの上なく体現したのは、まさにこの3人だった。

だが、彼ら以上に「森保イズム」がチームに浸透していると感じたのは、交代で出場した原口元気のプレーだった。

原口が示した「森保ジャパン」の完成度

原口がピッチに立ったのは87分。疲労の色が濃くなった中島との交代だった。9月のコスタリカ戦に続き、日本の攻撃をリードする大活躍を見せた中島。同じポジションの原口の心中は穏やかではなかったはずだ。

しかし原口は実質7分あまりのプレー時間のなかで攻守両面で非常に質の高いプレーを見せた。「自分もアピール」とばかりにはやったプレーに走ってもおかしくない状況のなかで、チームが勝ちきるために、ときに味方を使い、ときに自ら無理をし、ウルグアイの反撃の勢いを削いだ。「チームコンセプトと個の力のバランス」という「森保ジャパン」の姿勢が、原口のプレーに非常によく表れていたように感じた。

「賢く両方を合わせてできるのが、日本選手の良さ」と、森保監督は選手たちをほめた。しかし短い活動期間のなかでこれだけ選手たちの能力を引き出し、それを強豪チームに対する勝利だけでなく、チームとしてのある程度の「完成度」にまで高めた(ウルグアイのタバレス監督は両チームの違いを「完成度の差」と表現した)森保監督の手腕は、ひょっとしたら期待しすぎかもしれないという懸念を払いのけるどころか、私の期待をはるかに上回るものだった。

若い選手の活躍、つかんだ自信とともに、日本代表は大きな成長期に入った。「森保ジャパン」の成長を追いかけるのが、ますます楽しみになった。

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