津波対策先送りの指摘「大変心外」、東電元副社長

2018/10/16 18:57
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福島第1原子力発電所事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力旧経営陣3人の公判が16日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。被告人質問が始まり、武藤栄元副社長(68)は政府機関の長期評価に基づき巨大津波の可能性が報告された際の対応について「対策先送りとの指摘は大変心外。適正な手続きだった」と主張した。

検察官役の指定弁護士の冒頭陳述や東電社員らの証言などによると、武藤氏は原子力・立地本部の副本部長だった2008年6月、津波が最大15.7メートルに達するとの試算結果の報告を受けた。一度は防潮堤設置の手続きなどの検討を指示したが、翌7月に方針転換。土木学会に長期評価の妥当性検証を依頼することにし、対策を見送ったとされる。

被告人質問で武藤氏は「長期評価の根拠が分からなかった。信頼性がないと思った」とし、「報告を受け、防潮堤について調べるよう言ったが、対策を取ると決めたわけではない」と説明した。「従来、土木学会が体系化した手法で対策しており、手続きは適正だった。先送りと言われるのは大変心外だ」と強い口調で反論した。

武藤氏は「当時は原子力・立地本部の副本部長で、(対策の)決定権限はなかった」と主張。08年8月に当時、同本部長だった武黒一郎元副社長(72)に「(試算結果で)大変高い津波の水位が出た。学会の検討結果に応じて対策工事を取る」と報告したとも証言した。武黒氏は17年6月の初公判で「報告を受けた記憶はない」と否定しており、主張が食い違った。

武藤氏は事故への思いを問われると「多くの方に言葉で表せないほどの迷惑をかけた。当事者としておわびする」と陳謝し、頭を下げた。

旧経営陣3人の被告人質問は17日も武藤氏、19日に武黒氏、30日に勝俣恒久元会長(78)の予定。3人は初公判で「事故を予見することは不可能だった」と無罪を主張している。

起訴状によると、3人は津波による重大事故を予見しながら原発の運転を続け、事故で長期間の避難を余儀なくされた入院患者らを死傷させたとされる。

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