フィリピン、18年の成長率目標を引き下げ 6%台後半に
【マニラ=遠藤淳】フィリピン政府は16日、2018年の実質国内総生産(GDP)成長率の目標を従来の前年比7~8%から、6.5~6.9%に引き下げると発表した。原油価格の上昇や先進国の金融引き締めの動き、加速するインフレなどを考慮し、見直したとしている。
ドミンゲス財務相は記者会見で、米中貿易摩擦で世界経済の先行きが不透明になっているなどと指摘。「逆風を乗り越えられると確信しているが、(新たな成長率目標は)満足できる水準ではない」と話した。19~22年の成長率目標は年7~8%のまま据え置いた。
フィリピンでは今年に入ってガソリンなどの燃料価格が上昇。供給不足から食品の値上がりも進み、GDPの約7割を占める個人消費の伸びが鈍化している。1~6月期の成長率は前年同期比0.3ポイント低下し6.3%と政府目標を下回って推移していた。
政府は経済成長の重荷になりつつあるインフレの抑制に向けて様々な手を打つ。政府管理下にあるコメの輸入を民間に開放する方針で、19年1月に予定していた石油税の再引き上げを見送ることを決めた。消費者物価指数(CPI)上昇率は3月以降、政府目標(2~4%)を上回って推移しているが、19年には3~4%の範囲に落ち着くとの見通しを示した。