整備新幹線、JRに負担増要求 財制審で議論
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は16日、2019年度予算案の編成に向けて、社会資本整備や農林水産の分野について議論した。財務省は人件費や資材価格の上昇により追加費用が見込まれる整備新幹線について、国の負担を抑えるためにJR各社へ負担増を求めた。
整備新幹線の財源は、JR各社が払う鉄道施設の使用料を除く部分を、国と自治体が2対1の割合で負担する。国土交通省は追加費用を約3500億円と見込むが、国の追加負担はできるだけ抑えたい考えだ。ただ整備新幹線をめぐっては与党から予算確保を求める声が上がることが必至。工事は建設費の上振れも招きやすく、JR各社に負担増を求める調整は難航が予想される。
高速道路については、維持管理費の確保のほか、無料区間と有料区間が混在することによる渋滞の解消に向けた施策が検討された。財務省は会合で示した資料で「同一路線については有料化するなど料金負担のあり方を検討すべきだ」と指摘。欧州での有料化の事例を示した。
水産業向けの予算も見直しを提言した。農林水産省は現在進めている水産業の改革にあわせ、漁船の高性能化や水産資源の調査に必要な予算を要求している。財制審は「構造改革の推進や漁業の生産性向上に必要な予算かどうか精査する必要がある」とし、政策効果を慎重にみる必要があるとの考えを示した。
水産業の成長に向け、財制審はIT(情報技術)を活用した取引も提言した。漁業者がとった魚は卸売市場を経由して小売店に並ぶ。財制審は「多段階の流通構造がコスト増や鮮度劣化の要因になっている」と指摘。漁業者がインターネットを通じて小売店や消費者に直接魚を販売し、鮮度向上などで商品の価値を高め、漁業者の所得向上を図るべきだとした。