中国当局、物価抑制に腐心 大豆が焦点

2018/10/16 18:11
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【北京=原田逸策】中国当局は物価の安定に腐心する。インフレは庶民の不満を高め、政権の不安材料になりかねないため。とくに幅広い食品の価格に影響する大豆の値動きに目を光らせる。

「実りは多いね。茎の育ちはどうかな」。9月下旬、中国東北部の穀倉地帯、黒竜江省。習近平(シー・ジンピン)国家主席は農業研究施設を視察し、大豆の生育状況について研究員に尋ねた。

習氏が大豆の生育状況を気にするのも無理はない。大豆は食用油の原料になり、油の搾りかすは豚のエサになる。中華料理では油も豚肉も大量に使うため大豆の値上がりは消費者物価指数(CPI)の上昇に直結する。

中国は国内消費量の9割弱を輸入に頼り、うち3分の1は米国産。だが、米国との貿易戦争で7月から米国産大豆に25%の追加関税をかけた。トランプ米大統領の支持基盤である大豆農家を揺さぶる狙いだが、国内の物価上昇リスクと隣り合わせの「劇薬」でもある。

消費者は豚肉や食用油の価格に敏感だ。豚肉価格は足元では前年並みだが半年前よりも約4割上昇した。豚のエサとなる油の搾りかすの価格は前年同期に比べ1~2割上昇し、養豚会社の経営を圧迫している。中国メディアによると、豚1匹当たりで200元(約3200円)の赤字が出ており、中国政府は赤字を補填する補助金などの支給で養豚会社の経営を支援するとともに、豚肉価格の安定を図っている。

一方、大豆の輸入単価は、安い米国産の輸入を減らし、割高な南米産を増やしたこともあり、4~9月まで6カ月連続で前年同月を上回る。

中国も大豆の輸入依存を下げる手を打つ。大豆の搾りかすに替えて菜種やひまわりの種の搾りかすの輸入を増やしたり、豚の飼料に配合する大豆搾りかすを減らしたりしている。補助金を上積みし、黒竜江省などで大豆の作付面積を増やして国内生産も拡大する。

一連の対策で2018年の大豆の輸入量を17年比1千万トン強減らすことを目指す。18年1~9月の大豆輸入量は前年比140万トン減にとどまり、年間で目標を達成できるかどうかは不透明だ。

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