サウジ記者殺害疑惑、アップルウオッチで録音? 報道に疑問も

2018/10/16 17:33
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【シリコンバレー=佐藤浩実】サウジアラビア政府を批判してきた著名記者ジャマル・カショギ氏が殺害された疑惑をめぐり、米アップルの腕時計型端末「アップルウオッチ」が拷問や殺害の様子を録音していたとの現地報道が話題になっている。ただ実際には存在しない指紋認証機能に言及するなど矛盾点も多い。トルコによる盗聴などを隠すための「目くらまし」との指摘も広がる。

発端はトルコ現地紙ザバハの13日の報道だ。カショギ氏がイスタンブールのサウジ総領事館に入る際に「アップルウオッチの録音機能をオンにしており、尋問、拷問、殺害の音声が記録され、iPhoneと(クラウド上にデータを保管するサービスの)iCloudの両方に送られた」と伝えた。iPhoneは領事館の外で待つカショギ氏の婚約者が持っていたという。

米国に亡命していたカショギ氏は、以前の写真などから17年秋に発売された第3世代のアップルウオッチを付けていたと推測されている。アップルウオッチ向けの録音アプリは複数存在しており、一定条件のもとで録音した内容をiPhoneなどに送ることは可能だ。

ただ現地報道には疑わしい点もある。

1つが「アップルウオッチを見つけた殺害犯が、録音データを消すためにカショギ氏の指紋を利用して端末のロックを解除した」と報じた点だ。アップルウオッチは今年9月に発売された第4世代まで含めて、いずれの機種も指紋認証機能は搭載していない。

さらにアップルウオッチでの録音に成功したとしても、短距離無線通信規格のブルートゥースでiPhoneにデータを転送するには、障害物のない場所でも10メートル程度までが限度だ。建物内ではおよそ5メートルまでとされ、カショギ氏のアップルウオッチと領事館の外にいた婚約者が持つiPhoneが通信するのは現実的でなかったとみられる。

カショギ氏の持っていた機種には米国内では単体でデータ通信ができるセルラー機能が付いていたようだが、トルコは同サービスを利用できる地域ではなかった。Wi-Fi機器を併用していたとの推測もあるが、信ぴょう性は定かではない。計画的な殺害であれば、身につけた通信機器の存在を確かめるはずだとの指摘もある。

米CNNはセキュリティー専門家ロバート・べーア氏の意見として「サウジ領事館内の音声が記録されていたとすれば、トルコ政府が盗聴器を仕掛けていたのだろう」との見方を紹介した。米CNBCや英BBCなどでも「(アップルウオッチによる記録は)不可能では」との指摘が相次いでいる。

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