台湾、WTOで「途上国」優遇放棄 中国との差訴え

2018/10/16 17:00
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【台北=伊原健作】台湾の蔡英文政権が世界貿易機関(WTO)で、貿易交渉で優遇される「発展途上国」との主張を放棄し、「先進国」として参加する方針を打ち出した。トランプ米政権は世界第2位の経済大国である中国が「途上国」と主張することに不満を示す。蔡政権は中国の外交圧力で苦境にあり、中国との違いを明確にして米国などに協調姿勢を示し、国際社会での存在感を高める狙いだ。

台湾は貿易での国際的な存在感向上を狙う(9月、南部の高雄港)

米メディアなどが報道し、15日に台湾の立法院(国会)での質疑で蔡政権側が認めた。

台湾は2002年、「独立関税地域」としてWTOに加盟。同時に加盟した中国と同じく「途上国」と主張してきた。

WTOで途上国は貿易自由化の義務などの一部を緩和・免除する「特別かつ異なる待遇(S&D)」という枠組みが適用される。先進国の間では中国のように途上国を自称する国・地域が貿易交渉で「S&D」を掲げて保護主義的な政策の維持を狙うことへの不満が根強い。

台湾は既に17年の1人当たり名目域内総生産(GDP)が2万5千ドル(約280万円)に迫り、途上国との主張は通りにくい。経済部(経済省)の担当者はこれまで「貿易交渉で『S&D』を使うことはほぼなかった」と話す。蔡政権は途上国との立場を捨てても実害は少ないと判断した。

トランプ米大統領は4月に自身のツイッターで「中国は経済大国なのに、WTOからは途上国とみられている」「不公平だ」などと不満を示していた。デニス・シア米WTO大使は台湾の決定を歓迎し、同様の動きが出てくることへの期待を示したという。

台湾メディアによると、経済部の王美花次長は米国や欧州連合(EU)がWTOの改革に取り組んできたと指摘。台湾が率先して途上国との主張を放棄したことで「モデル作用」が生まれ、改革に寄与することに期待を示した。

台湾では16年に中国大陸と台湾が1つの国に属するという「一つの中国原則」を認めない蔡政権が発足。中国の外交圧力で断交が相次ぎ、友好国が17カ国まで減るなど国際社会での孤立の懸念が強まっている。中国は米の保護主義を批判し自由貿易を提唱する半面、WTOでは途上国と主張。蔡政権は国際協調を重視する姿勢とともに、中国との違いもアピールする狙いとみられる。

また蔡政権は中国の影響力が及ぶ東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への参加が難しくなるなか、日本が主導する環太平洋経済連携協定(TPP)への加入に活路を求める。加入交渉に向け加盟国に開放的な態度を示す意図もある。

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