埼玉・三芳町、農業遺産で産業振興 観光誘客など

2018/10/15 22:00
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農業体験などで観光客を呼び込む官民の取り組みが埼玉県三芳町で始まった。同町などで続く農法が2017年に日本農業遺産に認定されたことを生かし、体験・宿泊型の旅行プランや特産品を使った新商品を開発する。都心に近い立地と農業を掛け合わせ、減り続ける農家の担い手確保につなげるとともに、町全体の産業底上げを目指す。

農泊推進協議会が初めて開いたセミナーには約50人が参加した(9月、埼玉県三芳町)

狭山茶や「川越いも」と呼ばれる特産のサツマイモなどの生産者や飲食店、宿泊事業者など14の企業や団体で構成する農泊推進協議会を今年度立ち上げ、9月にセミナーを開いて本格始動した。町が事務局を務める。(1)農業遺産拠点整備(2)農業体験メニュー開発(3)インパクトのある商品開発・販売――の3つの事業を並行して進める計画だ。

三芳町は平地にある雑木林の落ち葉を発酵させた堆肥を活用する循環農業が江戸時代から続く地域で、この農法が日本農業遺産に認定された。まずは18年度中に町役場の展望室に農業遺産を映像などで紹介するスペースをつくる。将来的には観光案内や荷物預かりなどに対応する窓口も設置する方針。

農業体験メニューの開発は体験型レジャーの予約サイトを手がけるアソビュー(東京・渋谷)が協力。サツマイモ収穫や伝統農法の体験のほか、地元企業が運営する環境教育施設も活用して2年間で少なくとも3つのプログラムを考案する。

11月には初のモデル事業として1泊2日の体験プランを企画する。農園でサツマイモとサトイモの収穫やバーベキュー、テント宿泊などを体験する内容。地元飲食店での食事や温浴施設での入浴も組み入れ、町全体の魅力を発信する。

呼び込んだ観光客に消費を促す商品開発も進める。飲食店や小売店などと協力し、18年度中に狭山茶や「川越いも」など町の産品を使った「意外性や話題性のある商品」(同町)を試作する予定。19年度には量産化を目指したいという。

一連の取り組みには国の農山漁村振興交付金(2年で計1200万円)を活用する。SNS(交流サイト)などによる情報発信で近くの観光地、川越市を訪れる外国人や若年層を呼び込み、20年度には収益化できる事業とする方針だ。

▼日本農業遺産 重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域を認定する制度で、農林水産省が2016年に創設した。国連食糧農業機関が認定する世界農業遺産の日本版として、農産物のブランド化や観光客誘致を通じて地域振興を後押しする狙いがある。これまでに静岡、三重、宮城、埼玉、静岡、山梨、徳島の7県8地域が認定された。

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