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シリア北西部イドリブ 非武装地帯の設置期限

主要な過激派が撤退受け入れか、くすぶる衝突リスク

【カイロ=飛田雅則、イスタンブール=佐野彰洋】内戦が続くシリアの北西部イドリブ県と周辺で15日、戦闘を回避する非武装地帯(DMZ)の設置期限を迎えた。ロイター通信によると、焦点だった最大勢力の過激派がDMZからの退去を示唆。シリアのアサド政権による総攻撃は猶予されるとみられるが、同県では2017年、「安全地帯」が設置された後に戦闘が続いた経緯があり、予断を許さない。

イドリブを拠点とする国際テロ組織アルカイダ系の過激派組織は14日夜「解放された地域を守り、侵略や虐殺を防ぐための努力を評価する」との声明を発表。トルコのエルドアン大統領とロシアのプーチン大統領が9月中旬に設置で合意したDMZを順守するとの見方も出ている。

内戦で優位を固めたアサド政権はこの夏、反体制派最後の拠点のイドリブ奪還に向け、周辺に部隊を展開し総攻撃の準備を進めた。だが難民の流入やテロを懸念する隣国トルコは戦闘を回避するため、アサド政権の後ろ盾のロシアからDMZ設置の合意を引き出した。

DMZは政権軍と武装勢力を引き離す幅15~20キロメートルの地帯をイドリブ県と隣接県に設置する。10月10日までに重火器撤去はおおむね履行されたが、過激派を含む戦闘員の退去期限が15日だった。

イドリブには数万人の武装勢力が存在するとされる。アサド政権への降伏を拒んだ反体制派が移送されたほか、過激派が立てこもっている。トルコが支援する反体制派はDMZを受け入れたとされるが、アルカイダ系組織は「聖なる革命のための戦いを放棄しない」と抵抗する意思を捨てていない。

シリア人権監視団(英国)によると、15日未明時点でDMZから過激派が撤退する様子はみられないという。イドリブ県周辺では13日から14日に政権軍と武装勢力との間で砲撃があり、同監視団は「重火器は存在しないはずで、明確な合意違反だ」と指摘した。

アサド政権やロシアはアルカイダ系の過激派組織をテロリストとみなしているため、偶発的に戦闘が始まる恐れがある。政権は最近、イドリブ住民の携帯電話に「戦闘員から離れろ」などと退避を促すメッセージを送信した。

アサド大統領は10月上旬、DMZを「一時的な措置」と呼び「イドリブは最終的に政権の支配に戻る」と強調。将来の奪還への決意を改めて示した。過去に政権側は過激派掃討を名目に、戦闘を禁じる「安全地帯」が設けられた地域を攻撃し、奪還した。

イドリブ一帯の人口は約300万人とされる。国連は本格的に戦闘が始まれば、80万人が避難すると予想する。政権を支えるロシアやイランに対して、米国が猛反発するのは必至だ。トランプ米大統領は「向こう見ずな攻撃はするな」などと発言。アサド政権が化学兵器を使用した場合、再度の軍事行動を採ると警告している。

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