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魅力あるマッチメーク DANGAN社長・古沢将太(上)

2018/10/20 6:30
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ボクシングの聖地といえば東京・後楽園ホール。年間100前後の興行が行われる。今年最も沸いたのは7月27日、日本スーパーバンタム級タイトルマッチだった。久我勇作と和気慎吾の世界ランカー対決は大きな話題を呼び、2千枚のチケットは試合1カ月前に売り切れた。

主催したのはボクシング興行会社、DANGAN(ダンガン)社長の古沢将太。勝った和気は世界再挑戦へ前進し、敗れた久我は初挑戦が遠のいた。両陣営がリスクを懸けて受けた一戦を、「自分が組んだ中でも最高のカードの一つ」と古沢は語る。事実上のプロモーターとして活動を始めて6年、「好カードを連発するDANGAN」としてすっかり定着した。

ジムに寄り添い、ファンが見たいカード実現

興行の要諦はファンが見たいカードを組むこと。実はこれが意外に難しい。日本の場合、ジムは選手を管理・育成し、自ら興行も主催する。つまりマネジャーとプロモーターの二役を担う。大手ジムの興行だと前座からメインイベントまで所属選手が並ぶが、誰も自分の選手を負けさせたくはない。おのずとファン目線よりもジムのメンツや算段が優先される"守りの"マッチメークになりがちだ。

具志堅用高氏(左)らジム会長たちの信頼も厚い(東京・後楽園ホール)

具志堅用高氏(左)らジム会長たちの信頼も厚い(東京・後楽園ホール)

そんな中、DANGANは各ジムを仲介する形で好カードを組んできた。自分で興行を打つだけの選手の頭数も財力もないジムの受け皿にもなり、今や年間30~40の興行を主催する。7月に米国からベルトを持ち帰ったスーパーフェザー級・伊藤雅雪、先日4度目の防衛に成功したライトフライ級・拳四朗の両世界王者もDANGAN育ちだ。ともにハードなマッチメークで魅力を引き出され、世界へと羽ばたいた。

あの選手とあの選手をやらせたら……。古沢の頭の中は常に対戦カードがぐるぐる回っている。それでも「実現できるのは3~4割」。目先の興行ばかり考えていては選手を抱えるジムの信頼は得られない。「2回続けてハードな相手には当てないとか、逆に負けた選手には必ずもう1度チャンスを与えるとか、ジムに寄り添う姿勢が大切」

ジム会長は個性派ぞろいで、海千山千の策士もいれば頑固オヤジもいる。「そうした付き合いも楽しくて。ちょっとトラブっても楽しめる性格なんです」と笑う。慶大卒業後、投資銀行でファンド運用など3年従事した後に退職。学生時代から関心の強かったスポーツビジネスの世界に飛び込んだ。人間関係の濃い世界にあって、しがらみがない身軽さも逆に有利に働いているのかもしれない。物腰柔らかに、父親ほど年の離れた会長たちの懐に飛び込んでいる。=敬称略

(山口大介)

〔日本経済新聞夕刊10月15日掲載〕

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