シャープ、8K対応テレビ4機種を同時投入
シャープは15日、高精細の映像技術「8K」に対応した液晶テレビ4機種を11月17日に投入すると発表した。シャープは昨年、世界初の8Kテレビを製品化した。今年12月にNHKが世界で初めての8K実用放送を始めるのにあわせて商品群を充実させて、新市場を開拓する考え。韓国サムスン電子など世界大手も8K市場に相次ぎ参入を表明している。
16日開幕する国内最大の家電・IT(情報技術)見本市「CEATEC(シーテック)ジャパン」を控えた記者会見で発表した。8K放送を受信できるチューナーを内蔵した80~60インチのモデルなどを投入して商品群を増やす。70インチのチューナー付きモデルの価格は税抜き100万円程度を想定する。昨年投入したチューナーを内蔵していないタイプの同型テレビと同じ価格帯に抑え、普及拡大を狙う。石田佳久副社長は「放送開始は日本が世界で初めて。強みを出したい」と語った。
シャープは昨年10月に中国に8Kテレビを投入したのを皮切りに、日本、欧州などへ販路を広げてきた。だが、高価格帯ということもあってまだ市場への浸透は限定的。ライバル参入について石田副社長は「歓迎すべきこと。市場が拡大していけばいい」と話す。
だが、既に8Kテレビへの参入を表明しているサムスンや同じ韓国のLG電子、中国TCL集団は世界の、薄型テレビ市場のシェアで上位3社だ。調査会社IHSマークイットの調べによると、18年4~6月期には合計で約4割のシェアを占めた。シャープのシェアは3.4%に過ぎない。
20年に薄型テレビの世界市場に8Kテレビが占める比率は約1%、22年には2%強になる見通し。シャープは「8K」分野で、カメラなどの川上から川下のテレビまでを総合的に扱う戦略を展開する。「テレビだけでなく、8Kを様々な領域にいかに展開できるかが重要だ」(石田副社長)。世界のトップメーカーに対して、シャープが先行者としての利点を生かせるか試される。