2019年4月24日(水)

トランプ氏、サウジに「厳罰」辞さず 記者殺害疑惑で

2018/10/14 6:06 (2018/10/14 20:37更新)
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【ワシントン=中村亮】サウジアラビア政府に批判的な著名記者が殺害された疑惑に関連し、トランプ米大統領がサウジ政府が関与したことが判明すれば「厳罰」を科す考えを示したことが13日、明らかになった。与党・共和党内で広がる対サウジ強硬論に配慮したとみられ、近くサウジのサルマン国王とこの問題に関し電話協議する。トランプ政権は中東でのイランの影響力を抑えるためサウジ寄りの姿勢をみせてきたが、良好な関係が揺らぐ可能性が出てきた。

サウジアラビアの著名記者ジャマル・カショギ氏(9月29日、ロンドン)=ロイター

サウジアラビアの著名記者ジャマル・カショギ氏(9月29日、ロンドン)=ロイター

CBSテレビが13日、14日放映予定のトランプ氏とのインタビューの一部を公開した。トランプ氏はサウジのムハンマド皇太子がクシュナー上級顧問との最近の電話協議で疑惑を否定したと表明。サウジ政府が関与していれば「我々は激しく憤慨する。厳罰が待っている」と述べた。「サウジが関与した可能性があるのかといえば、ある」とも語った。

一方、議会が求めるサウジへの武器輸出停止については13日、記者団に「非常に愚かだ。自分たちを罰するようなものだ」と述べ、拒否する考えを改めて示した。米国内の雇用に悪影響が出る可能性があるためだと説明し「罰する方法はほかにもある」と語った。

殺害された疑いがあるのはサウジ人記者のジャマル・カショギ氏。2日にトルコのイスタンブールにあるサウジ総領事館に入ったのが確認されてから消息を絶ち、サウジ政府の指示で殺害されたとの疑惑が浮上している。

米紙ワシントン・ポストによると、トルコ当局はカショギ氏がイスタンブールのサウジ総領事館で殺害された証拠となる映像と音声記録があると米政府に伝えた。トランプ氏もトルコ当局などの捜査の結果が近く明らかになるとの見通しを示している。親サウジで知られるトランプ氏がここにきて強硬姿勢を示すのは、疑惑についてサウジをかばいきれないと判断したとの見方がある。

議会の対サウジ強硬論の高まりも背景にある。上院外交委員会は10日、トランプ氏に宛てた書簡で人権侵害に関与した人物に制裁を科す法律に基づいて殺害疑惑の捜査を始めるよう要請。共和党の外交委トップのコーカー議員は「疑惑が確かめられれば米・サウジ関係を大きく変えることになる」と警告した。

一方、トランプ政権にはサウジとの決定的な関係悪化を避けたい思いも透ける。米メディアによるとムニューシン財務長官は12日、サウジが10月に開く経済フォーラムに予定どおり出席する意向を示した。同フォーラムを巡ってはカショギ氏の殺害疑惑が浮上してから企業トップの欠席が相次いで明らかになっている。

トランプ政権が対サウジ制裁を余儀なくされれば、両国関係の悪化は避けられない。サウジ政府は14日、国営通信を通じて声明を発表。「経済制裁や政治的圧力による脅しは完全に拒否する」と強調したうえで、同国への制裁が発動されれば対抗措置をとる考えを示した。

トランプ政権は中東で拡大するイランの影響力を抑え込むためサウジとの連携を強めてきた。パレスチナ和平やテロ対策でも協力を深めてきただけに、関係の冷え込みは中東情勢の大きな不安定要因になる。

原油価格の上昇要因になる可能性もある。トランプ政権は11月上旬までにイラン産原油の禁輸を呼びかける一方、油価の安定に向けてサウジには原油増産を求めてきた。米サウジ関係が悪化すれば、市場では将来の原油供給を不安視する見方が広がりそうだ。

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