日本にも為替条項要求へ 米財務長官、TAG交渉巡り
【ヌサドゥア(バリ島)=河浪武史】ムニューシン米財務長官は13日、日本との物品貿易協定(TAG)交渉を巡り「これからの貿易交渉では、どの国とも為替問題を協議していく。日本を例外にすることはない」と表明した。通貨安誘導を封じる為替条項を日本にも求める考えを示したもので、同条項は通商交渉の「目的だ」とも述べた。

ムニューシン氏はインドネシア・バリ島で開いた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後に、一部記者団の質問に答えた。
為替条項は自国企業の輸出に有利になるように政府が為替介入などで通貨安に誘導することを防止するためのルールだ。TAG交渉の開始で合意した9月の日米首脳会談では、為替については議論がでなかったと日本側は説明していた。
為替条項が導入されれば市場への介入余地を狭めかねず、日本側は導入に反対の立場だ。日本政府関係者は同日、日本経済新聞の取材に「発言の真意を見極める必要があるが、日本が受け入れることは絶対にあり得ない」と強調した。
米国はカナダ、メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉でも為替条項の導入を要求し、3カ国で合意した新たな「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」には「為替介入を含む競争的な通貨切り下げを自制する」と明記した。ムニューシン氏はUSMCAでの為替条項が、日本との貿易協定でモデルになるとも指摘した。