今年限りの文学賞にカリブの女性作家 スウェーデン
【ストックホルム=共同】ノーベル文学賞の発表見送りに伴い、スウェーデンの文化人らが創設した今年限りの市民文学賞に、カリブ海のフランス海外県グアドループ出身の黒人女性作家マリーズ・コンデ氏(81)が12日決まった。最終候補4人のうちの1人に残っていた村上春樹氏は9月、「執筆に専念したい」としてノミネートを辞退した。

コンデ氏は16歳でパリに渡り、ソルボンヌ大学で学んだ。代表作は「セグー」「わたしはティチューバ」「生命の樹」など。米コロンビア大でフランス語によるカリブ海文学を教え、黒人奴隷の解放の歴史を伝える活動にも関わってきた。
他の最終候補は、ベトナム出身のカナダ人女性作家キム・チュイ氏(50)、英国のSF、ファンタジー作家ニール・ゲイマン氏(57)。
市民文学賞は、ノーベル文学賞の選考主体のスウェーデン・アカデミーが5月、関係者の性的暴行事件を理由に今年は受賞者を発表しないと決めたのを受けて創設された。文化人らによる「ニュー・アカデミー」が選考作業を進め、図書館司書らが選んだ第1次候補47人からインターネット投票で最終候補を絞り込み、審査委員会が議論を重ねてきた。
ニュー・アカデミーのアン・ポールソン審査委員長は9月、共同通信の取材に、ネット投票では村上氏がトップの人気だったとした上で、辞退がなければ「受賞していただろう」と述べていた。