ケーブルテレビ最大手のジュピターテレコム(JCOM)は12日、12月から始まる高精細な4K放送を視聴できる新型チューナーの予約を始めたと発表した。新たにアンテナを設置しなくても4Kを楽しめる便利さのほか、番組ラインアップの豊富さをアピールし、加入者増を狙う。2020年夏までに4K対応チューナーで100万件の契約獲得を目指す。
ケーブルからの信号をテレビ用に変換する「セットトップボックス(STB)」と呼ばれるチューナーの予約を始めた。4K放送が始まる12月1日までに納入する。
テレビの受信料金とSTBの利用料を合わせ、月額料金は約5000円。JCOMのケーブルテレビ加入者は、これまでと同水準の料金で4K放送を楽しめる。
NHKや民放キー局のBS放送だけでなく、JCOM傘下のJスポーツやジュピターショップチャンネルなど、4K番組を見られるチャンネルの豊富さをアピールする。
4Kへの対応により、既存のJCOM加入者による切り替えのほか、新規契約者の獲得を狙う。12日に記者会見した井村公彦社長は「これまでの4K試験放送は映像機器に関心の高い人が主な利用者だった。12月に始まる本放送では、より多くの方への普及がテーマになる」と強調した。
20年夏に開かれる東京五輪に向け、高精細画面でのスポーツ観戦の機運が高まるとみる。JCOMは「Jスポーツ」などをアピールし、現時点で約382万の契約世帯数を増やす考えだ。
今年12月からは衛星放送の「BS」と「110度CS」で新4K放送が始まる。視聴するには4K対応テレビのほかチューナーとアンテナを別途用意する必要がある。新品の薄型テレビに占める4Kテレビの割合が今年6月に5割を初めて超えるなど、テレビ端末は4Kが普及しつつあるが、アンテナやチューナーの普及はこれからだ。
JCOMはケーブル経由での配信のため、4Kの視聴のためにアンテナは不要。JCOMは4K対応テレビの購入者向けに、STBを置くだけで済む手軽さも売りに訴求する。(河野真央)