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「恐怖指数」が株安増幅 NY株2日で1400ドル近く下落

日経平均株価は12日、前日比103円(0.46%)高の2万2694円と反発し、同日の米ダウ工業株30種平均は取引開始直後に上昇幅が400ドルを超える場面があった。米長期金利の上昇をきっかけにした世界的な株安の連鎖にはひとまず歯止めがかかった格好だ。ただ、今回の株安の根底には投資家の不安心理を映すとされる「VIX指数」の急騰というメカニズムがあり、米中間の貿易戦争など不確実要因が多く残るなかでは、同様の事態がぶり返す恐れも否定できない。

米ダウ工業株30種平均は10、11日の2日間で合計1377ドル(5%)安と大幅に下落した。長期金利の上昇などを受けてVIX指数が急騰し、同指数に連動する形で運用している一部のファンドから機械的な売りが出たようだ。

VIX指数は「市場がみる今後の株価変動率(ボラティリティー)」を示し、「恐怖指数」とも呼ばれる。株安による将来の損失を回避するためなどに使う金融商品、「オプション」の値動きから算出する。VIX指数は10日に約4割上昇して一時約23に達し、11日には約29まで上昇した。通常、VIX指数が20を超えると市場の不安心理が高まっていると解釈される。

VIX指数の上昇が株安を招く背景には、株価のブレ(リスク)が大きくなると機械的な売りを出す「リスク・パリティ」と呼ばれるファンドの存在がある。株や債券など資産ごとの価格のブレを注視し、それが資産間で等しくなるように調整しながら運用している。ある資産の変動率が上昇した場合には、機械的にその資産の持ち高を圧縮するための売りを出す。

2008年の米金融危機後に普及したとされる。当時、株や債券など様々な種類の金融資産がいっせいに値下がりし、分散投資がリスク回避策として機能しにくいことが露呈。これを受けて、「価格のブレ」を察知して機敏に売りを出すリスク・パリティ型運用の人気が高まったという。

今回の株安でもリスク・パリティ型ファンドからの売りが株価を押し下げ、「株価の予想変動率が一段と上昇→同ファンドがさらに売り」という悪循環が生じたようだ。11日は日本や香港、欧州でも株価の予想変動率を示す指数が上昇し、同様の売りが誘発されたとみられる。「VIX指数が上がると、米国籍で日本株や香港株に投資するファンドからの売りが目立つ」(大和証券の北岡智哉氏)との声もある。

12日はドイツやフランスなどの欧州株も買い先行で始まり、VIX指数は21台まで低下する場面があった。ただ、市場ではVIX指数が急上昇すると、「落ち着くまでに1カ月程度はかかる」(野村証券の伊藤高志氏)との指摘がある。

リスク・パリティ型のファンドが変動率の上昇に見合うだけ株式の持ち高を圧縮するには時間がかかるケースもあり、株式市場での需給悪化からVIX指数が上昇しやすい地合いが続くためとされる。18年2月にVIX指数が急上昇した際も、その後しばらく同指数は落ち着かない動きを続けた。

今回の株安は「リスク・パリティ型ファンドによる売り」という需給上の要因で増幅された側面がある。その一方で、米中間の貿易戦争が激化しているうえ、米国の金利上昇を受けて新興国経済・市場は不安定さを増し、英国による欧州連合(EU)からの離脱交渉がどう着地するかもみえない。「不安心理」が簡単に高まってしまう今の株式市場は、世界経済の不確実さを映してもいる。(坂部能生)

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