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豊島逸夫の金のつぶやき

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どこまで続く世界同時株安

2018/10/12 10:44
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9月の外国人投資家の日本株買いは、NY株急落の前ぶれだったのか。

新興国から米国へ逆流したマネーは米国株に奔流。さらにあふれ出たマネーの一部が日本株に分散してきた。今となっては、警戒水域を超えた河川の堤防決壊を告げる警報にも思えてくる。

そのマネーが逃避先として選択したのが、まず「安全通貨=円」であった。米金利上昇という強いドル高基調に逆らい円高が進行する様は、サケの川のぼりを連想させる。

次に逃避マネーの受け皿となったのは米国債だ。安全資産としての米国債購入により、一時は3.2%を超えた米10年物国債の利回りも3.1%台に反落している。これも、市場内の主流に逆行する動きといえよう。今や、ヘッジファンドの間ではマーケットで最も混み合うトレードが「米国債先物売り」とされるからだ。その規模は過去最大級で、なお継続中である。

「新債券王」といわれるカリスマ投資家のグンドラック氏は、昨日のテレビ出演で「これだけ膨れ上がった米国債先物売りだが、連戦連勝の勢いで、いまだ手じまい巻き戻される気配が全く感じられない。(現在3.3%台の)米30年債利回りが4%になっても驚かない」と語っている。その放映からほぼ1時間後の日本時間午前3時台に、下げ止まっていたダウ工業30種平均が一気に前日比600ドルを超える急落を演じた。揺れる市場心理(センチメント)を映すかのような現象であった。

そして、安値に沈んでいた金価格まで、逃避マネーの買いにより、1190ドル台から1220ドル台まで急騰。レンジを上抜けした。需要の7割を新興国に依存しており、新興国通貨(特に人民元)の下落は現地通貨建て金価格を引き上げて実需減を誘発する。それゆえ相場の頭は重かった。しかし、NY市場での逃避マネーによる先物買いが勝る結果になった。

とはいえ、逃避マネーはあくまで「雨宿り」。本格的なマネーの「引っ越し」現象ではない。雨がやめば、三々五々還流してゆく。そもそも主たるマネーの受け皿としての米国経済はファンダメンタルズが好調だ。歴史的低水準の失業率、歴史的高水準の米サプライマネジメント協会(ISM)景況感指数など、「良すぎる」ことがNY株には裏目に出た。過熱予防のための更なる利上げは不可避。とはいえ、そもそも金利上昇は経済好調の証しだ。

昨日は、今週最大の注目経済指標とされた米消費者物価指数が発表された。結果は、変動の激しいエネルギーと食品を除いたコア指数で年率2.2%と事前予測より低めに出た。これで利上げペースがスローダウンとなれば、金利急騰に歯止めがかかり、株式市場では歓迎すべき材料となるはずだった。たしかに、統計発表直後はNY株価も若干持ち直したのだが、長くは続かなかった。米連邦準備理事会(FRB)は完全雇用に近い労働市場ひっ迫のほうを重視している、との見方が市場では根強いのだ。地区連銀からも、人材採用難の事例多しとの報告が寄せられている。そもそも、今回のNY株大幅調整のキッカケとして、パウエル議長の「中立金利までにはいまだ道遠し」との発言が引き合いに出される。それはFRBの真意なのか。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録発表が待たれるところだ。

なお、トランプ米大統領のFRB口撃は昨日も続いた。今回はFRBが「アウト・オブ・コントロール=制御不能」と語っている。市場としては、中間選挙直前に、FRB利上げについて「ぼやく」より、選挙対策として株買い材料になるような「つぶやき」が聞きたいところだろう。

株価反転のキッカケは、トランプ相場ゆえ、意外にトランプ氏次第かもしれない。予定されているトランプ・習近平直接会談で、貿易戦争による米中共倒れを防ぐべく、何らかの共同声明が出されることを市場は期待する。

NY市場内では、ダウ平均が二日で1300ドル以上下げたところで、とりあえず週末を控えて一服ムードが垣間見られる。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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