携帯料金引き下げなど年内に答申 規制改革推進会議
政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大学教授)は12日午前、来年夏の答申の取りまとめへ議論を再開した。第4次産業革命の促進や少子高齢化への対応、地方創生の3分野を柱に据える。携帯電話料金の引き下げや、金融と商品の総合取引所の実現など重点7項目は年内にも結論を出す。

安倍晋三首相は首相官邸で開いた会合で「第4次産業革命により世界は大きく変化している。チャレンジを阻む岩盤のように固い規制や制度を打ち砕いていく」と強調した。
第4次産業革命を促すため、規制・制度面からビジネス環境の整備をめざす。携帯料金については、超高速の次世代通信方式「5G」の普及を見据え、引き下げの仕組みを検討する。携帯の値下げは総務省の有識者会合が議論に着手しているが、制度改革の加速を後押しする狙いがある。
金融商品とコモディティー(商品)をひとつの取引所で売買できる総合取引所の実現に向けた議論に乗り出す。投資家の利便性と市場の国際競争力を向上させる。教育分野でも英会話やプログラミングなどインターネットを活用した小中学校での遠隔教育の促進へ、要件の緩和をめざす。
2つ目の柱に据えた少子高齢化への対応を巡っては、育児・介護休業法に基づく介護休暇や介護休業の延長を検討する。介護休業は最大3回まで分割して取得できるが、回数の引き上げへ議論する。小学生を預かる「放課後児童クラブ」(学童保育)の整備を加速するための仕組みを検討する。
3つ目の柱の地方創生を巡っては、農業の生産性向上を掲げる。ドローン(小型無人機)などを農作業に使う際に妨げとなる規制を見直す。地域の農地を集約して大規模な経営をめざす「農地バンク(農地中間管理機構)」の賃借手続きなどを改め、農地を借りやすい仕組みを整える。