2019年6月27日(木)

おすすめ本にロボが案内、教育にも高専生の知恵
高専に任せろ!2018

日経産業新聞
コラム(ビジネス)
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2018/10/12 6:30
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

子供の本離れが叫ばれて久しいが、図書館に本を案内するかわいらしいロボットがいたら楽しそう――。そんな若者らしい発想を形にしたのは、栃木県第2の都市・小山市にある小山工業高等専門学校(小山高専)だ。高専生が社会の課題解決に挑む「ソーシャルドクター」の活動。その視線は教育分野への関わりを通じて、年少の子供たちにも注がれている。

図書館で子供を案内するロボット。愛らしい外観が人気だ

図書館で子供を案内するロボット。愛らしい外観が人気だ

小山市の中心部にある市立中央図書館。室内では床に貼られた黒いテープをなぞるように、うさぎのぬいぐるみが動き回る。「道に迷っちゃったよ~」と声を発する愛らしい姿に、子供たちがうれしそうに後を追う。川村壮司講師の研究チームが開発した図書館ロボット「うさたん」だ。子供を連れておすすめ本コーナーに着くと、「ここだよ」と言って停止。子どもたちが本を取ってうさたんのポシェットに入れると、貸出カウンターに運んでくれる。

■安全性と愛らしさにこだわる

動力は12ボルトのバッテリーとモーター。機械工学科の折原慶喜さん(20)は「肝はモーターのトルク。スピードが出すぎないような設計になっている。子供のためのロボットだけに安全性は徹底的に追求した」と話す。下部に6つ、前部に3つのセンサーを搭載。子供と衝突しないよう注意をはらいながら、テープの反射を識別して動く。

初登場は2012年。モデルチェンジを繰り返し、現在は4代目だ。高専ロボコン(アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト)の指導をしていた川村講師のもと、ロボット技術を社会に還元する目的でスタート。学科を横断して約20人の学生が集まってアイデアを練った。図書館に狙いを定めたものの「本棚から本を取る」司書のような役割のロボットは、すでに企業や大学が巨額の資金を投じて開発していた。

一方、川村講師らが実施した調査では、子供たちは小学校3年生くらいになると友達と連れだって図書館に訪れるようになる。しかし中学校、高校と年齢が上がるにつれて、平均読書冊数が下がることが分かった。小学校低学年の段階で図書館を身近に感じてもらうことが何よりも重要ではないか――。読書を早期に習慣化できれば、読解力向上にもつながる。「見た目にもかわいい図書館ロボットならニーズがあり、社会的意義も大きい」と判断した。

図書館案内ロボットの開発は先輩から後輩へと引き継がれている

図書館案内ロボットの開発は先輩から後輩へと引き継がれている

親近感を持ってもらえるように、うさたんの声は学生がふき込んだ。あえてモーターを荒く動かすことで、「おしりを振って愛らしく見えるように」工夫するなど、細部にまでこだわった。メンバーは代替わりしながら開発を継続。子供たちの反応を拾い集めてはモデルチェンジに生かしている。来年1月には5代目の最新型をお披露目することが目標だ。

機械工学科の福地理子さん(19)は「A4判サイズの大きさまで小型化したい」と話す。自動運転システムにも使われる「ライダー」と呼ぶセンサーを採用し、床のテープなしで動けるようにすることも計画中だ。

■遊んで身につく防災

兵庫県明石市の明石高等専門学校(明石高専)では、学生がオリジナルのボードゲームを使って子供たちの「防災教育」をリードしている。

「災害からどうやって街を守るか。僕たちとゲームで考えましょう」。8月22日。市内のコミュニティーセンターに集まった小学生26人を前に、学生たちがゲームの遊び方を解説していた。

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