探査船「ちきゅう」出港 海洋文化都市へ期待膨らむ

2018/10/10 22:00
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海洋研究開発機構(JAMSTEC)の地球深部探査船「ちきゅう」が10日、静岡市の清水港を出港した。半年にわたって南海トラフを探査し、初のプレート境界への到達を目指す。静岡市は海洋研究施設が集積しており、地元では「国際海洋文化都市」の形成を期待する声が出ている。

多くの市民が「ちきゅう」の出港を見送った

「いってらっしゃい」「気を付けて」。10日、清水港の興津第2埠頭では、見送りに来た市民ら百数十人が「ちきゅう」に向かって手を振った。船は午前10時すぎ、汽笛を鳴らし、ゆっくりと岸壁を離れた。

今回の研究航海は、静岡県に甚大な被害が想定される南海トラフ地震など巨大地震の発生メカニズムを探るのが目的だ。紀伊半島沖で海底下5200メートルまで掘削。プレート境界の地層試料を採取し、断層のひずみを推定する。清水港には2019年3月に戻る予定だ。

静岡市は海洋研究と浅からぬ縁がある。JAMSTECは清水港を「ちきゅう」の事実上の母港としており、市内には東海大学の海洋学部や、水産研究・教育機構の国際水産資源研究所といった研究施設、海洋調査を担う企業が集積している。21年にかけて複数の国際学会も予定されている。

駿河湾は最深部が2500メートルと、国内の湾では最も深く、海洋研究に適している。港近くで急に深くなる構造を持ち、陸地に入り込んだ地形のため、風や波の影響も受けにくい。富士山などの山から流れ込む栄養分で、深海魚を含む多くの魚類が生息している。

海洋関連の研究機関や企業の集積を生かそうと、市は「国際海洋文化都市」構想を掲げている。水族館と博物館が融合した「清水港海洋文化拠点施設」を20年代前半に開設するほか、「海洋産業クラスター創造事業」などを進める。担当者は「19年は清水港開港120周年の節目。『ちきゅう』の活動は盛り上げに向けて追い風になる」と話す。

地元の企業・団体などが16年に設立した「海のみらい静岡友の会」は、帰港後の船上報告会などを検討している。11月末にはJAMSTECの研究員を招いて「南海トラフ地震観測の最前線」と題した講演会を開く予定だ。

(福島悠太)

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