テックビューロ、仮想通貨交換事業を譲渡 フィスコと正式契約
テックビューロ(大阪市)は10日、同社の仮想通貨交換事業「Zaif」を譲渡することで、フィスコグループの仮想通貨交換業者と正式に契約したと発表した。9月の不正アクセスで流出した約45億円分の顧客の仮想通貨については譲渡後にフィスコが補償する。
10月19日の株主総会で決議し、11月22日に譲渡する。テックビューロは事業譲渡後、仮想通貨交換業の登録を廃止して解散する。
譲渡先は、改正資金決済法上の登録業者であるフィスコ仮想通貨取引所(大阪府岸和田市)。流出したのはビットコイン、ビットコインキャッシュ、モナコインの3種。前者の2通貨についてはフィスコが既に流出相当分の現物を調達しており、被害にあった顧客に渡す。モナコインは流動性が低く、現物の調達が難しいため、流出分について「1モナコインあたり約145円」で補償する。
テックビューロは当初、フィスコが顧客への補償用に50億円を支援するほか、テックビューロの株式の過半数を取得することなどを軸に検討してきた。9月中にもまとめるとしてきたが延期していた。迅速な顧客保護の徹底もにらみ、事業譲渡に切り替えた。同社は「スキームは変更となったが、顧客資産の保護という点では差異はない」としている。
モナコインについてはZaifでの取引を10日の午後5時から全面的に停止したと発表した。フィスコが補償のための買い付けをするかしないかを事前に知らせると相場が大きく動く可能性が高かったため、事前の告知なしで取引の中止と日本円での補償を公表したとしている。
テックビューロは9月14日に不正アクセスによって自社資産を含む約70億円分の仮想通貨が流出した。システムの脆弱性に加えて公表が20日に遅れたことなどから金融庁は同社に対して3度目となる業務改善命令を出した。