2018年10月24日(水)

中国足がかりにアジア開拓 日立物流がAITとの提携発表

サービス・食品
中国・台湾
東南アジア
2018/10/10 19:12
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物流大手の日立物流は10日、中堅の同業で国際貨物輸送を手掛けるエーアイテイー(AIT)と資本・業務提携すると発表した。AITが強みを持つ中国向けの輸出入を足がかりに、顧客の日本企業の進出先であるアジアの物流需要を開拓する。アジアでは海外物流大手と競合が激しく、顧客が求める機能をそろえる総合化を進め海外勢を追い上げる戦略だ。

資本提携では日立物流がAITの発行済み株式総数の約20%を保有。AITと日立物流傘下で日中間の貨物輸送などを手掛ける日新運輸(大阪市)との株式交換を通じAIT株を日立物流に割り当てる。日新運輸はAITの完全子会社となる。契約締結は10日付で、株式交換は2019年3月1日に発効する予定。

来年3月以降に本格化する業務提携は、日立物流が主力とする企業物流での需要も多い中国との貨物輸送の仲介が柱になる。AITは中国からの衣料品や雑貨の輸入を得意とする。日立物流も子会社を通じて中国向け輸送を手掛けていたが「強い事業体ではなかった」(日立物流の中谷康夫社長)。AITに集約し規模のメリットを出すことで顧客企業の囲い込みを強める。

17年の日中の貿易総額は前年比9.8%増の2968億ドル(約33兆5000億円)と、中国は日本にとって最大の貿易相手国だ。中国を生産地とする輸入はもちろん輸出も拡大傾向で、日本からインターネット通販を通じて販売する「越境EC」の伸びも見込まれる。

中国に限らず、国際貨物輸送のてこ入れは日立物流にとって急務だ。少子高齢化や人口減少による国内市場の縮小を見据え、顧客企業は中国や東南アジア諸国連合(ASEAN)などアジアに生産・販売の主戦場を移している。一方でアジアにはドイツのDHLやスイスのキューネ・アンド・ナーゲルなど欧州勢を中心に海外物流大手も進出し、需要を奪い合う。

海外勢の背中は遠いが、倉庫運営だけでなく国際輸送の仲介から配送まであらゆる業務を丸ごと担える総合力が問われる。日立物流は自前では弱い部分を他社との提携で補いつつ総合化を目指す戦略を取っており、AITと組んだのはその一環。さかのぼれば16年、宅配や企業間の輸送に強い佐川急便を傘下に持つSGホールディングス(HD)との資本・業務提携も総合化に沿う。

日立物流はSGHDと、日本国内での配送やアジアでの倉庫運営などと強みを持ち寄った提携の成果を見極めたうえで、経営統合の可能性を検討するとしている。ただ17年に株式上場したSGと売上高や時価総額で差があるのも事実。こうした格差を縮めるためにも、日立物流にとりAITとの提携は小さくない意味を持ちそうだ。

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