2019年7月17日(水)

踏破2分半、最短国道 神戸港→2号線わずか187メートル(もっと関西)
とことんサーチ

関西タイムライン
コラム(地域)
2018/10/11 11:30
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神戸市中央区を走る国道174号は知る人ぞ知る日本一短い国道だ。神戸港と国道2号を結び、全長はわずか187メートル。起点に立つと終点まで簡単に見通せる。なぜこんな短い国道が生まれたのか。謎を探った。

神戸市中央区のJR三ノ宮駅から南へ約1.2キロメートル。神戸市役所前を通って神戸港に向かうと、阪神高速神戸線の高架が見えてくる。高架下の国道2号の交差点付近にある道路案内標識の脇には「日本で一番短い国道です」と書かれた看板があった。ここから神戸税関前までの南北に延びる直線道路が国道174号だ。

早速、日本一短い国道を体感すべく歩いてみた。神戸税関前でタイマーを止めると「2分33秒」。ゆっくり歩いても3分ほどで通り過ぎられそうだ。

これほど短い国道があるのはなぜか。神戸市建設局道路部計画課の岡田渉さん(42)に尋ねると「174号が神戸港と国道2号をつなぐ道だからです」と教えてくれた。道路法には、重要な港や空港と主要国道を結ぶ道を「国道」とする規定があり、どんなに短くても国道というわけだ。

距離の短さに似合わず、道幅は約50メートルもある。岡田さんによると、1日の交通量は約2万3千台。幹線道路は1日1万台を超えれば交通量が多いとされるため、かなり多い。神戸港の物流を支える大動脈の一つになっている。

調べてみると、かつての国道174号は今よりももっと長かった。国道2号が今よりも北の、三ノ宮駅前を東西に走っていたためで、国道174号は940メートルあった。1962年、国道2号が現在の神戸港寄りの位置に変更されたことで日本一短い国道となったという。174号から外れた神戸市役所前の区間は兵庫県道30号の一部となり、現在は四季折々の花を植えた花壇や花時計が設けられた「フラワーロード」として市民らに親しまれている。

ほかにも短い国道はないか、国土交通省に聞いた。

174号に次いで短い国道は、岩国空港と国道2号を結ぶ189号(山口県岩国市)、東京港と国道15号を結ぶ130号(東京・港)の順となっている。いずれも、海や空の港と主要国道をつなぐ国道だ。港や空港を起点とした国道は全国に15本あり、このうち5本は全長1キロ未満。一部の愛好家からは「港国道」と呼ばれ、親しまれているそうだ。

「日本で一番短い国道」の看板は2002年、神戸市が多くの人に知ってもらい、愛着を持ってもらおうと設置したという。果たして地元では知られた存在なのか。

まずは起点そばの神戸税関を訪ねた。広報広聴室長、坂本悟司さん(55)は笑顔で「もちろん知っていますよ」。ホームページや広報誌にも神戸税関にまつわる小話として掲載しているという。

近くを歩いていると、10年前に近所に引っ越してきたという高橋好子さん(49)に出会った。「日本一短い国道」は地元では有名といい、「国道は長いイメージがあったので、初めて看板を見た時は驚きました」と振り返ってくれた。

スマートフォンで看板の写真を撮影していた宮崎市の大学生の男性(20)はフェリーで神戸港に着き、神戸市中心部に観光に向かう途中で知ったという。「旅の途中でこんなスポットに出合えるとは。友人へのいい土産話になります」と話していた。

国道の魅力を紹介する「ふしぎな国道」の著書があり、国道ファン歴21年のサイエンスライター、佐藤健太郎さん(48)に174号について聞いてみた。

「(陸上男子100メートル、200メートルの世界記録保持者の)ウサイン・ボルトさんであれば20秒ほどで走り抜けてしまうが、数ある港国道の中でも交通量が多く、車線数も多い」と説明。その上で「明治初期に東京と神戸港を結ぶ道路が国道に指定された。174号はこの栄光を受け継いでいるともいえる。距離は短いながらも歴史に彩られ、阪神大震災からも復興した美しい道だ」と教えてくれた。

神戸の海運を支え、地元の住民に愛される国道174号。距離だけにとどまらない魅力や歴史を垣間見ることができた。

(大阪社会部 佐藤未乃里)

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