2018年10月19日(金)

日豪部隊地位協定、早期妥結を確認 中国にらみ「準同盟国」明確に

政治
南西ア・オセアニア
2018/10/10 18:00
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【シドニー=松本史】日本とオーストラリア両政府は10日の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)で、自衛隊と豪軍が共同活動する際の法的な扱いを定める「訪問部隊地位協定」(VFA)を早期に妥結させる方針を確認した。安全保障上の協力の前提となる規定を整えて共同訓練の機会を増やす。中国の海洋進出をにらみ「準同盟国」の位置づけを明確にする。

日豪外務・防衛閣僚協議に臨む(右から)岩屋防衛相、河野外相、オーストラリアのペイン外相、パイン国防相(10日、シドニー)=共同

日豪2プラス2は昨年4月以来。共同声明ではVFAについて「可能な限り早期に交渉を妥結することへの強いコミットメントを再確認した」と明記した。2019年中に両国で初となる戦闘機訓練をするとし、航空自衛隊と豪空軍が訓練や演習を実施する機会を拡充する方針で一致した。

ペイン豪外相は協議で、安倍晋三首相が11月に豪州の北部ダーウィンを訪問するとの見通しを明かした。ダーウィンは第2次世界大戦時に旧日本軍が空爆し多数の死者を出した地域。ダーウィン訪問を戦後の日豪関係強化の象徴とし「準同盟国」の位置づけを印象づける狙いがあるとみられる。11月の豪州訪問時の首脳会談で、VFAについても大枠合意を目指す。

日本が豪州との関係を強化するのは首相が掲げる「自由で開かれたインド太平洋戦略」の一環。日米と豪州、インドの4カ国を中心にインド洋・太平洋の周辺各国が連携し、法の支配など共通の価値観の下に協力するという考えだ。日豪間の安保協力を南シナ海で軍事拠点化を進める中国に対抗するための一歩と位置付ける。

豪州側も対中国を意識して日本に近づく。16年に野党議員(当時)が中国系の実業家から多額の資金援助を受けていたことが発覚しスキャンダルに発展した。当初は中国寄りとみられたターンブル前首相は17年後半から急速に対中強硬姿勢にかじを切った。後任のモリソン首相も中国に対しては同様の姿勢を保つ。

「中国が米国の地位に挑戦している」。17年11月、豪州が発表した外交白書にはこう記された。米国の存在感が相対的に低下し、代わって中国が台頭していると指摘した。豪州が「裏庭」と位置付ける太平洋諸国ではインフラ開発支援を通じ中国が影響力を増しており、豪州の懸念は強い。

地位協定は国内に外国軍が駐留する場合に定める法的な取り決めだ。日本は在日米軍の権利などを定める日米地位協定のほか、日本に置く朝鮮戦争の国連軍後方司令部のために朝鮮国連軍地位協定を結んでいる。VFAは共同訓練や災害救助など一時的に外国軍が活動する際の規定で、日本はまだどの国とも結んでいない。

地位協定がない場合、2国間で「日本の国内法を尊重する」などの確認を取る手続きが必要になる。9月に英陸軍と初めて共同訓練をした際にも同様の手続きを踏んだ。VFAを結ぶと、外国軍を受け入れる手続きが円滑に進むようになる。協定締結には、豪軍関係者が罪を犯した場合に、死刑制度を持つ日本の刑法で裁けるかなどの問題も残る。

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