2019年5月25日(土)

南ア、改革掲げる政権に正念場 癒着疑惑で財務相辞任

2018/10/10 16:27
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【カイロ=飛田雅則】汚職撲滅などの改革を掲げてきた南アフリカのラマポーザ政権が正念場に立たされている。清廉なイメージだった財務相のネネ氏が富豪との癒着疑惑で辞任。すぐに後任に元準備銀行(中央銀行)総裁のムボウェニ氏を指名したものの、汚職対策や財政改革など取り組むべき課題は多い。

ラマポーザ氏は9日、ケープタウンで記者会見を開き、「ネネ氏の辞任を受け入れた」と語った。ネネ氏は3日、汚職疑惑で辞任したズマ前大統領と癒着していたとされる富豪のグプタ一族の家を何度も訪問した事実を証言。これまでの発言を翻したことで、野党などから辞任を求める声が強まっていた。

グプタ一族は大統領だったズマ氏との関係を利用して、国営企業や公共工事に介入するなどの疑惑が持たれている。グプタ家との癒着など汚職疑惑でズマ氏は2月に大統領を辞任。ズマ氏は起訴されたうえ、グプタ一族にも捜査が入っている。

汚職撲滅を掲げて誕生したラマポーザ政権は、「身辺がきれい」とされたネネ氏を財務相に再起用していた。財政の緊縮を掲げ、市場からの信頼も厚かった。同氏は2014~15年の財務相時代に、原子力発電所の建設に反対したことで、当時大統領だったズマ氏に更迭されていた。

「清廉潔白」とのイメージが強かっただけに、改革の推進役ともなってきたネネ氏に浮上した疑惑は現政権にとって打撃だ。迅速な人事の刷新で汚職撲滅の姿勢を改めて示し、事態の早期の収拾を図った形だ。

新財務相に指名されたムボウェニ氏は1999~2009年に準備銀行の総裁を務め、難題だったインフレ抑制に手腕を発揮。ラマポーザ氏は「経験を財政や経済の分野で発揮してくれる」と期待を表明した。

南アは金やプラチナなどの鉱物資源が豊富だが、07年以降の資源価格の下落が直撃。それまで5%を上回っていた経済は14年以降、0~1%台の低成長に陥った。足元でも18年4~6月期の国内総生産(GDP)は実質ベースで前期比年率0.7%減と、2四半期連続のマイナス成長となっている。潜在力に注目していた投資家にとっては大きな失望となっている。

新財務相は財政の立て直しという課題を担うが、社会保障に加え、雇用の受け皿となっている公務員や国営企業の職員の賃金にメスを入れれば、反発は必至だ。政権への影響力がある労働組合との摩擦も予想される。

10月に入り対ドルで1ドル=15ランド台まで下落していたランド相場は新財務相への期待感から、9日に一時、14.6ランド台まで値を戻した。19年に総選挙を控え、現政権が改革をためらえば、内外の投資家の失望を呼びかねない。

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