山形県、「雪若丸」本格販売 ブランド米2枚看板期待

2018/10/9 22:00
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山形県の新品種米「雪若丸」の本格販売が始まった。2010年に投入した「つや姫」よりやや安価な弟分という位置づけで、県産ブランド米の二枚看板に期待する。ただブランド米は競争過多な状況。国内のコメ需要は減少が続いており、山形県は別に輸出も視野に入れた安価なコメの新品種を開発中で、数年内の投入を目指す。

山形県の吉村美栄子知事らが東京都内で雪若丸をPR(6日、三越銀座店)

カレーとの相性の良さをアピールする雪若丸(東京・千代田のザ・キャピトルホテル東急)

6日、東京都内でデビューイベントを開き、俳優の田中圭さんが豪快にごはんをかき込むテレビCMを公開した。県内では9月29日に販売を始めたが、大消費地の首都圏では今後、交通広告などに1億3000万円をかけて新品種米をアピールしていく。

イベントでは吉村美栄子知事が「(料理評論家から)カレーに最もあうおコメと評価された。15年の歳月をかけたので大切に育てていく」と述べた。つや姫やコシヒカリに比べてやや硬めで、しっかりした粒感と適度な粘りの新食感をアピール。JA県本部が決める概算金は60キログラムあたり1万3600円と、つや姫より2400円安いが全体では高級品になる。

都内の百貨店などに売り場を持つ老舗米穀店、山田屋本店(東京都調布市)の秋沢美佳取締役は「つや姫クラスは新品種が相次ぎ店に並びきれない。少し安価な価格帯なら品ぞろえの幅を広げられる」と評価。高級ギフトを扱うリンベル(東京・中央)の東海林秀典社長は「食感が違い、つや姫と両立する。試験販売の反応はよく、値崩れしないようブランドを確立すべきだ」と語る。

ただ、県内JA幹部は「需要が減少を続けるなか、業務用など市場が求めているのは安価なコメ。高価格帯のコメを増やして店頭に並ぶのか」と懸念する。

県もこうした問題は認識しており、現在、収量が多く安価な価格設定が可能な新品種の開発を進めている。10アールあたり590キログラムとれる雪若丸に対し700~800キログラム収穫でき、輸出も視野にいれる。3~5年後にも市場に投入し、多様なニーズに対応する考えだ。

         ◇

2018年は宮城県の「だて正夢」や熊本県の「くまさんの輝き」なども本格デビューする。山形県の雪若丸を含め、いずれも日本穀物検定協会の食味ランキングで最高評価の「特A」を参考品種として獲得した。

最高級米は各県が威信をかけて競争する。17年度に「特A」がゼロとなった岩手県は17年にデビューした最高級品種「金色の風」と、16年発売の「銀河のしずく」という食味の異なる金銀コンビを前面に、バイヤー向けの産地見学会などを開き巻き返しを図っている。

こうした産地間競争が激化した要因のひとつがつや姫の成功といわれ、つや姫のブランド化に携わった大泉一貫・宮城大名誉教授は「農家がプライドを持てるなどブランド米は重要」と指摘する。一方、「高級品はもともと市場が狭い上に過当競争。今後は価格が安くてある程度おいしい、市場が求めるコメを作ることが必要」としている。

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