ポピンズ、保育士とベビーシッターを「二刀流」に
保育サービス大手のポピンズ(東京・渋谷)は自社の保育施設で働く保育士にグループ会社が運営するベビーシッターへの登録を促す。保育士が施設を退勤した後もシッターとして施設に通う子供の送迎や保護者が不在時の自宅での世話まで行う態勢を整える。集団保育からシッター業務まで提供することでサービスの質向上や保育士の収入確保につなげる。

現在、ポピンズは全国に210の保育施設を運営。契約社員、アルバイト・パート含め約2100人の保育士を抱える。これに加え、子育て経験などはあるが、資格を持たないスタッフも900人ほど現場で働く。
同社はこうした現場スタッフに対し、グループ会社が運営するベビーシッターサービス「スマートシッター」への登録を促す。スマートシッターは利用者とベビーシッターをネット上で仲介するサービスで、1時間あたりの基本料金2000円からと手ごろ。登録シッターの9割が保育士などの有資格者で、安全性の高さが売りだ。
ポピンズが運営する保育施設は約5000人の子供が利用しており、保護者にもスマートシッターへの登録を薦める。現在は数百人の保護者が登録しているという。
保育施設で働くスタッフと保護者の双方がスマートシッターに登録していれば、保護者はなじみの保育士などに、自宅と施設間の送迎や、帰宅が遅くなる際の子供の世話などを依頼できる。
スタッフもシッターを経験することで、施設での保育の質向上につなげられる。収入増にもつながる。ポピンズはスマートシッターを通した副業が可能な点は、保育各社の間で獲得競争が進む保育士の採用面でも有利に働くとみている。
スマートシッターとしても登録するベビーシッター数の確保が課題だ。共働き世帯の増加や待機児童問題の深刻化などを受け、ベビーシッターの需要は高まっている。
一方でスマートシッターは安全性を売り物にしているだけに、希望者のうち実際に登録されるのは10%ほど。ポピンズの施設で働くスタッフであれば一定の質が既に担保されている。
(企業報道部 高尾泰朗)
[日経産業新聞2018年10月3日付]