パキスタン、財政支援要請 IMFと協議へ

2018/10/9 14:30
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【ニューデリー=黒沼勇史】外貨危機に直面しているパキスタンのウマル財務相は8日夜に声明を出し、財政支援を要請するため国際通貨基金(IMF)と協議すると公表した。8月に発足したカーン政権は対中関係を重視し、IMFへの支援要請を先送りしてきたが、株価急落という市場の圧力にさらされ、重い腰を上げたようだ。

株価急落がカーン政権にIMFへの財政支援要請を促したようだ(南部カラチのパキスタン証券取引所)

ウマル氏は今週、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を開くインドネシア・バリを訪問する。同地では12~14日の日程でIMF年次総会もあり、そこでIMF側に支援を求めるという。8日の声明では支援要請の金額規模については触れていない。

ウマル氏は声明文で、国内総生産(GDP)比で6.6%の財政赤字や、1兆パキスタンルピー(約9200億円)を超えるエネルギー部門の損失、月20億ドル(約2260億円)の経常収支赤字を「前政権から引き継いだ」と強調。IMFへの支援要請という「今回の決定までの間、友好国と協力してきたし、今後も協力する」と主張した。友好国には中国やサウジアラビアが含まれる。

中央銀行によると、パキスタンの外貨準備高は9月28日時点で84億850万ドルとなり、約4年ぶりの低水準に減少した。中国主導のインフラ整備に伴う輸入増や、対外債務の償還額の増加が原因で、2年で半分以下に急減した。外貨準備高は少なくとも月間輸入額の3カ月分は必要とされるが、現状は2カ月分を下回る。デフォルトを回避するには、100億ドル前後の積み上げが急務とされる。対外債務は900億ドルを超え、3年で4割増えている。

今回、IMFへの支援要請を決めた直接の引き金は、株価の急落だったようだ。地元報道によると、パキスタン証券取引所の主要株価指数「KSE100」は8日、3.4%下落。一日の下落率としては15カ月ぶりの大きさとなり、指数そのものも27カ月ぶりの安値に沈んだ。広域経済圏構想「一帯一路」で組む中国や、サウジからの経済支援を優先し、IMFへの支援要請を回避する姿勢を保ち続けていることを警戒した売りが膨らんだ。

カーン政権がIMFを避けてきたのは、IMFの財政支援プログラムを用いると、一帯一路事業の中断や縮小を迫られかねないためだ。前政権時代に本格化した総事業費620億ドルのインフラ事業「中パ経済回廊(CPEC)」で中国から多額の融資を受けるが、その契約内容には非公表の部分が多い。IMFが支援の条件として契約の開示を求めれば中国が反発し、事業の継続が難しくなりかねない。

カーン氏の与党を7月の総選挙で支援したパキスタンの軍部は、傘下に建設会社などを抱え、CPECから間接的な恩恵を受けている。安全保障や外交面でも発言力の大きい軍はCPECの中断に同意しないとみられている。カーン政権は今後、市場圧力と軍部の意向のはざま、そして中国とIMFの間で難しいかじ取りを迫られることになりそうだ。

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