2019年7月23日(火)

キャピタルAの金融IT、生保から証券・銀行に拡大

コラム(ビジネス)
2018/10/8 6:30
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

金融システム開発のキャピタル・アセット・プランニングの業績が好調だ。2016年10月に東証ジャスダックに上場、9月に東証2部に市場変更した。生命保険会社向けのペーパーレスシステムで事業を拡大。足元では資産管理システムで証券会社や地方銀行に販路を広げ、生保一本足からの脱却を目指している。

北山雅一社長

北山雅一社長

「こちらをご覧ください。自社株をご長男にお譲りになると、法定相続分を大きく超えるんです」。中小企業の経営者に向かって資料を見せながら証券営業マンが説明する。「円滑な相続のためにも奥様のために相続機能のついた投資信託に入りませんか」

このような金融商品の売り込みの場で、キャピタルAの資産管理システム「ウェルスマネジメントワークステーション」は使われている。

営業マンはまず、顧客から聞き取った保有株式、土地、生命保険、借入金などの情報を入力。すると、システムがこれらのデータをアルゴリズムで分析して課題を出力する。現状と課題が明確になることで、金融商品を売り込みやすくなる仕組みだ。北山雅一社長は「金融資産の健康診断みたいなもの」と説明する。

同システムの販売を始めたのは09年だが、大口の顧客がついてきたのはここ数年。フィンテックへの関心の高まりや、事業承継の後押しを政府が打ち出したことで、金融業界からの引き合いが増えてきた。攻め時とみて、北山社長も自らトップセールスに動く。

9月のある土曜日、北山社長は東京・兜町で「プライベートバンカー」と呼ばれる金融営業マン向けの研修に講師として出席していた。受講生は証券や銀行の営業担当者など約20人。顧客の要望を聞き取り資産運用の戦略を提案するのが課題だ。北山社長は2日間にわたって参加し、問題の解説や受講生への講評に精を出した。こうした活動は自社システムのアピール目的。認知度向上の地道な取り組みが奏功し、足元では証券会社と地銀数社で採用された。

いまでこそ金融システムはフィンテックともてはやされているが、上場までの道のりは長かった。同社の設立は1990年。公認会計士で、米国の金融情勢にも詳しかった北山社長は「金融業界でもIT(情報技術)が必要になる日が来る」と信じていた。

最初の製品は、生保販売員向けに顧客の勤め先や家族構成のデータから生涯賃金や支出を試算して最適な保険商品を提案するシステムだった。その後、見積もりから契約まで全ての作業をペーパーレスにするシステムを投入。生保向けシステムは今でも同社の売上高の85%を占める屋台骨だ。

上場を意識し始めたのは00年前半。だが当時はITバブルの崩壊後でシステム会社に厳しい目が向けられており、実現しなかった。それから16年後、上場を果たした。

知名度向上で新卒採用への応募も増えた。「こんな時でもなければ新人と関われない」と保険数理などの基礎教育は北山社長が自ら取り組む。

業績も好調だ。18年9月期の売上高は前期比10%増の66億円、営業利益は同38%増の4億7千万円になったもよう。

資産管理システムはまだまだ伸びしろがあるとし、売上高全体の3割程度を占める次の柱に育てる。収益源が生保業界に偏っている体質を変えていく考えだ。

ただ、足元の株価は軟調だ。7月24日に年初来高値の8040円を付けた後、ジリジリと下げ、10月5日の終値は4610円だった。市場変更に伴う新株発行で1株利益の希薄化を既存株主が嫌気したこと。季節要因で売上高が第2四半期と第4四半期に偏る構造が理解されず、第3四半期の業績が振るわなかったと判断されたこと、などが原因とみられる。

「粘り強く説明し、信頼してもらえるようにするしかない」と話す北山社長。手がける金融システムのように、投資家に対し自社情報をどれだけ見える化できるかがポイントになる。(香月夏子)

[日経産業新聞 2018年10月8日付]

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