2018年11月16日(金)

米失業率48年ぶり低水準 9月、減税で3.7%に低下

北米
2018/10/5 21:55
保存
共有
印刷
その他

【ワシントン=河浪武史】米労働省が5日発表した9月の雇用統計(速報値、季節調整済み)は、失業率が3.7%と前月比0.2ポイント低下し、48年9カ月ぶりの水準に改善した。景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数も同13万4千人増えた。11月の中間選挙は野党・民主党が「反トランプ票」で攻勢をかけるが、雇用情勢の回復は共和党とトランプ政権の追い風となる。

「管理職募集中」の看板を掲げる飲食店=ロイター

失業率は1969年12月(3.5%)以来、約半世紀ぶりの水準に改善した。共和党主導で決めた大型減税で経済成長率は4~6月期に4%台まで加速し、労働市場も完全雇用の状態だ。60年代後半はベトナム戦争で働き盛り世代の労働者が不足していた事情があり、現在の雇用情勢は歴史的な好調さといえる。

雇用者数の伸びは前月実績(27万人)から大きく減り、市場予測(18万人程度)も下回った。ただ、労働市場は人手不足感が強く、企業が求人をかけても雇用者が増えにくい。9月は大型ハリケーンの影響で小売店などの就業者が一時的に減った要因もある。

雇用の改善は米連邦準備理事会(FRB)の利上げ路線を後押ししそうだ。FRBが物価統計として重視する個人消費支出(PCE)物価指数は8月に前年同月比2.2%上昇し、エネルギーと食品を除くコア指数も同2.0%高まった。ただ、9月の平均時給は同2.8%増にとどまっており、雇用の逼迫が賃上げ圧力をどこまで高めるかが焦点となる。

失業率の低下は、1カ月後の11月6日に中間選挙を迎えるトランプ政権と与党・共和党に追い風となる。トランプ大統領は金銭問題や女性問題などスキャンダル続きで、経済外交でも強硬的な貿易政策で国際的な孤立感を強めている。それでも同大統領の支持率が底割れしないのは、大型減税や規制緩和で米雇用が上向いているためだ。

雇用情勢を地域別でみると、とりわけ共和党の地盤で失業率の低下が進む。8月の失業率は中西部のアイオワ州で2.5%、ノースダコタ州も2.6%と、全米平均よりも1ポイント以上も低い水準に改善した。両州とも2016年の大統領選ではトランプ氏が制した。全米50州のうち30州で失業率が4%を下回っているが、そのうち20州はトランプ氏が勝利した地盤だ。

17年に成立した大型減税は、トランプ氏が勝利した中西部に有利な仕組みとなった。州・地方税の控除の仕組みを変えたことで、減税効果は中西部が大きく、民主党地盤のニューヨーク州などは小さくなった。中西部は消費や投資の押し上げ効果によって失業率が一段と改善している。

ノースダコタ州やアイオワ州は規制緩和も雇用改善を後押しした。トランプ大統領は17年の政権発足直後、環境問題で建設を凍結していた「ダコタ・アクセス・パイプライン」の運営を許可。両州は同パイプラインの敷設地帯で、ノースダコタは全米有数の石油の供給拠点にもなった。

米議会中間選挙は民主党が下院で多数派を奪回するとの見方が浮上するが、主要人事の承認権などを持つ上院は共和党が過半数を維持するとの観測が強い。20年の大統領選で再選シナリオを描くトランプ氏にとって、好調な雇用情勢を維持できるかが生命線になる。

今なら有料会員限定記事もすべて無料で読み放題

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報