2018年12月13日(木)

インド、ロシアから地対空ミサイル購入へ
首脳会談で合意 ロシア制裁の米国は反対

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アジアBiz
2018/10/5 20:50
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【ニューデリー=黒沼勇史】インドのモディ首相とロシアのプーチン大統領は5日、ニューデリーで会談し、インドがロシア製地対空ミサイルシステム「S400」を購入することで合意した。5基購入し総額は50億ドル(約5700億円)を超える見通し。ロシアに制裁を科すトランプ米政権はインドに対し、取引の再考を求めていた。

4日にニューデリーに到着したロシアのプーチン大統領(左)を出迎えるインドのモディ首相=AP

対ロ制裁を巡り、米国は9月、S400と戦闘機をロシアから購入した中国共産党の幹部らを制裁対象に指定した。ロシアの軍事部門と「重大な取引」をした第三者にも制裁を科す対ロ制裁強化法の条項を初適用した。同条項は大統領権限で特定の国への例外適用が可能だが、米国はインドにもS400購入を撤回するよう求め、インドがどう対応するかに注目が集まっていた。

「我々は両国関係を一層強化する顕著な決定を下した」。5日の首脳会談後の記者会見で、モディ氏はこう話した。プーチン氏も「我々は強い友情と互いへの尊重、共感で結ばれてきた」と述べ、米国の圧力が印ロ関係には及ばないとのメッセージを行間に漂わせた。

4日にニューデリー入りしたプーチン氏をモディ氏は通訳だけ同席する一対一の夕食会でもてなした。5日の共同声明ではS400の購入に触れ、モディ政権がめざす2022年までの有人宇宙飛行をロシアが支援することでも一致した。

S400は敵機を400キロ遠方で撃墜できる高性能ミサイルだ。インドのシンクタンク、オブザーバー・リサーチ財団のナンダン・ウニクリシュナン特別研究員は「米国の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)などと異なり、ロシアの装備品に慣れたインド軍は1年半から2年で習熟できる」と指摘する。

インドは歴史的に武器購入で、旧ソ連・ロシアへの依存度が高い。ストックホルム国際平和研究所によると、2000年以降の武器輸入に占めるロシア比率は70%を超える。同研究員は「対米配慮より、主権国家として利便性の高い武器を買う決断を下した結果だ」とも述べ、対米外交と防衛能力の強化をてんびんにかけて、後者を選んだと分析する。

「インドとロシアは変化の激しい世界で多極化を望んでいる」。モディ氏は会見でこうも話し、米国の圧力に屈しないとのポーズを演出した。だが舞台裏では、S400購入について米国の同意を取り付けようと最後まで交渉していたようだ。

政府関係者によると、インドは1日、米国務省に「S400購入の最終決定を伝える書簡」を送った。これまでも度々、購入意思は伝えてきたが、この書簡に回答がなかったことを米国の黙認と解釈したという。同関係者は「イランからの原油輸入をゼロにするという米国の対イラン制裁には協力する」とも話した。イラン制裁への協力と引き換えに、対ロではインドの意思決定を容認するよう、水面下でバーター取引を持ちかけていた実態も示唆した。

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