2018年11月16日(金)

ノーベル平和賞にコンゴ医師ら ムクウェゲ、ムラド両氏
内戦下の女性の被害の防止に貢献

ヨーロッパ
中東・アフリカ
2018/10/5 19:13
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【ロンドン=中島裕介】ノルウェーのノーベル賞委員会は5日、2018年のノーベル平和賞を発表した。アフリカ中部コンゴ民主共和国(旧ザイール)で武装勢力からの性的暴力による被害者救済に取り組む産婦人科医のデニ・ムクウェゲ氏(63)と、過激派組織「イスラム国」(IS)に性奴隷として拘束され生還した人権活動家のナディア・ムラド氏(25)の2人に授与する。

ノーベル平和賞の受賞が決まった、性暴力根絶を訴える活動を続けているナディア・ムラドさん(左)と性暴力を受けた女性の治療に尽力してきたデニ・ムクウェゲ医師=ロイター

ノーベル平和賞の受賞が決まった、性暴力根絶を訴える活動を続けているナディア・ムラドさん(左)と性暴力を受けた女性の治療に尽力してきたデニ・ムクウェゲ医師=ロイター

レイスアンデルセン委員長は2人の授賞理由について「戦争や武力紛争における武器としての性的暴力の終結に向けた努力」を挙げた。そのうえで「2人ともそれぞれの個人の身の危険を冒しながらも果敢に戦争犯罪と戦い、犠牲者のための正義を追求した」と指摘した。

戦時下の女性への性暴力はかねて指摘されてきたが、2人の活動を通じて問題への関心が高まった点が高く評価された。レイスアンデルセン氏は最近の女性への性暴力やセクハラを告発する「#MeToo(私も)」運動についても触れ「女性の苦しみや虐待に目を向けたという点で共通している」と述べた。

ムクウェゲ氏が活動するコンゴ民主共和国の東部では金やダイヤモンド、希少金属などの資源を巡る紛争で1990年代から治安が悪化。同国の紛争地帯では女性の3人のうち2人が性暴力を受けているとの情報もあり「少女や女性にとって最悪の場所」(国連)とされる。ムクウェゲ氏は99年に東部の主要都市ブカブでパンジ病院を共同設立。これまでに4万人以上の女性の治療や支援をしてきた。

一方、ムラド氏はイラクの少数派宗教ヤジド派の出身。14年にISが同派を襲撃し、多数が虐待され、女性数千人がレイプや拷問、人身売買の対象となった際、ムラド氏も被害者の一人となった。3カ月にわたって性的な暴行を受け続けたが、イスラム教徒の支援によって脱出。生還後は自らの体験に基づいて性的暴力を受けた被害者らの尊厳を守る活動を各地で続けてきた。

授賞式は12月10日にノルウェーのオスロで行われる。賞金は2人あわせて900万スウェーデンクローナ(約1億1300万円)が贈られる。

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