2018年12月12日(水)

データ争奪、車にも 移動革命にらむトヨタ・ソフトバンク

ネット・IT
自動車・機械
2018/10/5 0:47
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トヨタ自動車ソフトバンクグループは4日、自動運転など次世代車の事業展開で提携すると発表した。車の開発や安全技術で世界首位を競うトヨタと、各国でシェア事業者に出資するソフトバンクが手を組み、次世代分野で主導権を狙う。人工知能(AI)など技術進展を背景に、あらゆる産業でデータが企業の価値を高める時代。米グーグルなど異業種が存在感を増す自動車産業でも、データを巡る覇権争いが本格化する。

記者会見で握手するトヨタ自動車の豊田社長(右)とソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(4日午後、東京都千代田区)

記者会見で握手するトヨタ自動車の豊田社長(右)とソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(4日午後、東京都千代田区)

トヨタとソフトバンクは共同で移動サービス事業を手がける「モネ・テクノロジーズ」を設立する。ソフトバンクが50.25%、トヨタが49.75%を出資し、2018年度中に事業を始める。資本金は20億円で将来100億円まで増やす。

トヨタとソフトバンクは時価総額で国内1、2位。移動手段をサービスとして使う「モビリティー・アズ・ア・サービス(MaaS)」と呼ばれる次世代分野で連携する。

トヨタの豊田章男社長は4日の記者会見で「車をつくる会社から移動サービスを提供する会社に変わる」と強調。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は「今回は第1弾。より深く広い提携が進むことを願っている」と述べた。

新会社は18年度から順次、過疎地など全国100カ所で既存の自動車を使った配車サービスを始める。

20年代半ばまでに、トヨタが開発する完全自動運転車「イー・パレット」の普及も進める。商品を家まで届けてくれる移動型の無人コンビニや、患者を診察しながら病院に送る自動運転車など、新しいサービスの創出を促す。

ソフトバンクは米ウーバーテクノロジーズや中国の滴滴出行などライドシェア大手4社の筆頭株主で、乗車回数でみた世界シェアは9割に上る。こうしたシェアサービス大手に対し、トヨタが開発した自動運転車の導入を呼びかけることも視野に入れる。

自動運転を巡っては米ネット大手が開発を急ピッチで進める。グーグル系のウェイモは09年から自社開発の自動運転車で公道走行テストを開始。すでに総走行距離が約1400万キロメートルを超え、18年中に商用化する予定だ。事業化のスピードは速く、20年代半ばまでの実用化を目指すトヨタの先を行く。

トヨタは自動車の開発・安全技術に強みを持つほか、世界で約1千万台を売る顧客基盤から得られる走行データも多い。ただ単独の技術開発には限界もある。自動運転に必要な通信用の半導体設計に強い英アーム・ホールディングスを傘下に抱えるソフトバンクと連携し、巻き返しを図る。

自動車は膨大で多様なデータを生み出す。例えば中国の滴滴は年100億人の利用者がどこからどこまで車に乗り、いくら払ったかを把握できる。データを人工知能(AI)などで解析すれば「15分後に100メートル四方で何台の車が足りないか、客が手を上げる前に把握できる」(孫社長)。

今後、より多くのデータを集めた上で、新しいサービスを生み出す力が競争を左右する。

3日には米ゼネラル・モーターズ(GM)とホンダがライドシェアなど自動運転技術で提携すると発表するなど、ライバル各社も陣営づくりにまい進する。

車の利用手法が「所有」から「共有」に移るなど、自動車産業は「100年に1度の変革期」(豊田社長)を迎えている。自動車メーカーが産業の「主役」で居続ける時代は終わり、業種の垣根を越えた連携で付加価値を高めなければ生き残れない時代に移りつつある。

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