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山形県、コメなど種子の安定供給へ条例 種子法廃止で

山形県は今春廃止された種子法に代わる条例を制定する。コメや麦の種子の安定供給を都道府県に義務付けていた種子法の廃止による種子価格高騰などを懸念する農業者の声に対応した。条例には財政上、必要な措置を講じることを明記する。東北の他県は要綱などで対応しているが、山形県は条例制定で県が責任を持つ姿勢を明確にする。

9月議会に提出した山形県主要農作物種子条例案は、コメ、大豆、麦の優良種子の「将来にわたる低廉かつ安定的な供給」を県の責務と定めた。種子を保全する計画策定や生産に適した圃場の指定など多くは種子法の流れをくむが、「必要な財政上の措置を講じる」と明記した。

品種ごとに専用の乾燥機を使い混入を防ぐ県の原種倉庫(山形市)

種子の安定供給には原種が他の種と混じらないように保管するといった対応が必要。県は直接的な経費だけで年間1400万円をかけている。種子法廃止の国会審議で、廃止反対の立場で参考人質疑に立った龍谷大学の西川芳昭教授は「今後も予算に盛り込む際、議会の承認を得るには根拠となる条例が必要だ」と評価する。

気温10度、湿度30%に保たれた県の専用倉庫に保管されるコメの原種(山形市)

ただ、条例はすでにあるコメや麦が対象で、新品種の開発や野菜などは対象外。県は「コメの新品種開発はもともと別の枠組みだし、農業県として手を引くことはあり得ない」(農林水産部)としているが、JA山形中央会は県により幅広い種子の安定確保策を求めている。

山形在来作物研究会の代表で伝統野菜の保全に取り組む山形大学農学部の江頭宏昌教授は「種子法は戦後、食料確保のために作られた法律。時代背景から廃止は仕方ない面があり、在来種の保全とは別問題」と指摘する。

都道府県への義務付けをやめた効果として、農水省は「コメ以外の作物に注力するといった地域ごとに柔軟な対応が可能になる」(穀物課)という。現状、大きな変化はないが、秋田県立大の谷口吉光教授は「今は影響が限定的でも、いずれ公的な種子生産は不要となりかねない。条例を作るのはいいが、その際に『種子法廃止』に異を唱えるべきではないか」と指摘している。

      ◇

▼種子法(主要農作物種子法) 戦後の食糧増産のため優良な種子を国・都道府県主導で生産しようと1952年に制定された。技術向上で品質が安定し、民間ノウハウを活用する必要があるとして4月に廃止された。コメ余りの時代に対応する狙いだが、公的な関与を定めた法律がなくなることで、将来は外資の巨大会社が種を独占し、多様な米作りができなくなるといった懸念の声もある。

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