タイビバ、越ビール最大手の経営権確保 取締役の過半派遣
【バンコク=岸本まりみ】タイの酒類・飲料大手、タイ・ビバレッジは、2017年末に買収したベトナムのサイゴンビール・アルコール飲料総公社(サベコ)に、会長を含む取締役4人を送り込んだと明らかにした。全7人の取締役会の過半を押さえ、経営権を握った。タイ・ビバレッジグループの海外売上比率を20年までに50%に高める中期目標の達成に向けて弾みをつける。

タイ・ビバレッジは17年12月、約48億5000万ドル(約5500億円)を投じ、サベコの発行済み株式の約53%を取得した。ところがサベコ側がタイ・ビバレッジ側の取締役受け入れを拒否していたため経営権を巡って対立していた。

タイ・ビバレッジはベトナム政府に問題解決を求める書簡を送付。ベトナムのブオン・ディン・フエ副首相が改善を指示していた。
同社は20年までの中期経営計画で、東南アジアを中心とする海外売上比率を50%に引き上げる目標を掲げている。足元の比率は約4割。サベコの成長は目標達成へのカギを握る。
サベコのベネット・ネオ社長は「(経営権を握ったことで)攻勢をかける準備は整った」と述べた。拡販戦略と並行して経営改革に取り組む考えも示した。同氏はサベコの取締役会には入っていない。
サベコの18年1~6月期の連結決算は、売上高が前年同期比8%増の約17兆ドン(約832億円)、純利益は4%減の約2兆3370億ドンだった。