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欧州で試される「強さ」 サッカー人の限界に挑む

9月16日のチェルシー戦で僕は今季初得点を決めた。といっても、それはU-23(23歳以下)のチームが戦う「プレミアリーグ2」、いわゆるリザーブリーグでのこと。

前日のトップチームの試合でベンチ外だった僕は、すぐさまロンドンへ移動した。リハビリから復帰したものの、以前と違う戦術を指向するトップチームで、なかなか出場機会を得られていない。そんな僕を誘ってくれたU-23の監督は「俺たちのチームにはプレミアリーグを制したストライカーがいるんだ。負けるわけがない」とミーティングで活を入れていた。

若い仲間との試合は1-1で終了。難しいところもあったが、意外と面白い経験だった。90分間使ってもらってコンディション調整の面でも有意義な時間になった。

今年のオフに中村俊輔さん(磐田)と対談する機会があった。そのとき、「欧州でプレーすることの意味」を問われた僕は「修行みたいなもの」と答えた。「サッカー選手としてどこまで行けるのか?」。そこを毎日追求し続けているんだと。俊輔さんも同じように考えていた。

9月25日、イングランド・リーグカップで相手選手と競り合う岡崎(左)=ロイター

この向上心はバロンドール(世界最優秀選手)を取るとか、欧州チャンピオンズリーグで優勝したいというような願望とは違う。所属するクラブの格、得点数や出場数といった結果でも表せない。もっと自分との闘いというニュアンスなのかもしれない。

欧州へ来て、想像した以上の厚い壁があった。「練習では僕の方がやれているのに試合に出られない」という葛藤はずっと続いている。僕と同程度の力量の選手がいたとすると、監督は無意識にか、欧州や南米、アフリカ出身の選手を起用する。サッカー途上国の日本から来た選手は低く見られてしまう。そんなふうに感じることもあった。

ある種の偏見を伴った、理不尽に思える現実に直面したとき、まともに衝突しても問題は解決しない。抱えた怒りをぶつける場所もなく、ストレスは増すだけで気持ちは晴れない。そういう現実をイコール、自分の弱さ、力の無さだと受け入れて認めないと海外ではやっていけない。

「それでも、ここでやるのか、お前は」と自分と向き合う。これも修行だと耐えられるのか、のみこめるのか。欧州ではそういう強さを絶えず試されている。

リザーブリーグ出場は欧州へ来て初めてのことだった。これを屈辱だと思うのか、何かにたどり着くためのプロセスと考えるのか。捉え方次第で、現実は変わる。

「もう岡崎も終わりだな」という空気を何度もはね返して今までやってきた。1発のゴールで低評価を覆したときの痛快さ、楽しさを僕は知っている。だから焦りはない。サッカー人として限界に挑む修行を楽しんでいる。

(レスター所属)

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