カナダ産LNGをアジアに安定供給 三菱商事など1.6兆円投資

2018/10/2 20:00
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三菱商事は2日、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルや中韓企業などと共同でカナダに液化天然ガス(LNG)プラントを建設すると発表した。開発費は約140億ドル(約1兆6000億円)を見込む。プラント建設は日揮などが受注した。オーストラリアや中東が中心だったLNGの調達先にカナダを加え、エネルギーを安定供給する。

カナダにLNGの大型輸出基地ができるのは初めて。2020年代半ばに生産を開始し、日本を中心としたアジア各国に輸出する。

カナダ西海岸のブリティッシュコロンビア州に天然ガスの液化設備を設ける。液化能力は年1400万トンで、日本の年間輸入量の2割弱に相当する。液化事業にはシェルが40%を出資し、マレーシア国営石油のペトロナス(25%)、三菱商事(15%)、中国石油天然気集団(CNPC、15%)、韓国ガス公社(5%)のアジア勢が加わる。

三菱商事は開発費のうち約2400億円を負担し、LNGを年210万トン販売する権利を得る。日本の電力・ガス会社を中心に中国などアジア各国に販売したい考えだ。仮に全量を日本に輸出した場合、日本の年間消費量の2~3%に当たる。

三菱商事は中東や米国にLNGの権益を持つが、カナダ西海岸は日本までの輸送距離が短い利点がある。米国メキシコ湾岸からパナマ運河を経由すると日本まで4週間程度かかるのに対し、カナダ西海岸からは10日に短縮できる。中東からの17日と比べても短く、地政学リスクも低い。

カナダの天然ガスの生産量はLNG換算で年1億2900万トンと、世界全体の約5%を占める。従来は米国に輸出していたが、シェールガス革命で米国はLNGの輸出国になった。カナダ国内の需要は限られており、「豊富な資源をアジアに安定供給できる」(三菱商事)。

プラントの建設は日揮が米フルアと共同受注した。設計から資材調達、建設を一括で請け負う。日揮の受注分は約6300億円で、同社にとって単独案件としては過去最大の受注になった。

日揮の大型LNGプラントの受注は、ロシア・ヤマルの案件以来約4年ぶり。14年以降の原油安による投資の停滞でプラント業界は苦戦を強いられていた。世界の資源大手はLNGの需給が逼迫する20年代前半を見据えて開発決定に踏み切るとみられ、プラント業界には追い風となる。

三菱商事やシェルは10年にカナダで事業化調査を始めたが、16年に原油価格の下落を受けて投資決定を見送った経緯がある。ここ数年は原油価格が持ち直しており、将来的にアジアの新興国などでエネルギー需要の増加が見込めるため開発を最終決定した。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の山崎みえアナリストは「早く投資決定をすればその分LNGの販売先を押さえることができる」とし、カナダの投資決定が他の資源大手の経営判断にも影響を及ぼすとみる。

米トランプ大統領は貿易赤字削減のためLNGの輸出を推進している。米テキサス州ではカタール国営石油と米エクソンモービルが年産能力1560万トンの大型計画を18年度内にも決定する見込みだ。

だが、米国の開発計画には米中貿易戦争で中国が米国産LNGに対して報復関税を発動させたことが影を落とす。山崎氏は「(貿易戦争の影響で)契約の見直しなどがあれば、最終投資決定が遅れる可能性もある」と指摘する。

(村松洋兵、杉浦雄大)

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