[FT]米GE、カルプCEOの下でリストラ推進へ

2018/10/2 16:52
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Financial Times

米産業機械大手ダナハーのローレンス・カルプ元最高経営責任者(CEO)が米ゼネラル・エレクトリック(GE)の取締役会メンバーとなったのは、5カ月前。3カ月前には筆頭独立取締役に就任。先週末には、ジョン・フラナリー会長兼CEOの後任に指名された。カルプ氏のスピード昇進ぶりは、GE取締役会が再建の取り組みをいかに急ごうとしているかを示している。

10月1日にGEのCEOを退任したジョン・フラナリー氏=ロイター

10月1日にGEのCEOを退任したジョン・フラナリー氏=ロイター

フラナリー氏がコスト削減に注意深く慎重な手法をとっていたのに対し、カルプ氏は素早い決断力を発揮することを期待されそうだ。

フラナリー氏は昨年、GEのヘルスケア事業を立て直した手腕を買われてCEOに任命されたが、GE全体で同様の成果を上げる力はないと取締役会が判断するまで、長くはかからなかった。前任のジェフ・イメルト氏はCEOを16年間務めたが、フラナリー氏は16カ月も持たなかった。

フラナリー氏の問題は大胆なビジョンの欠如ではなかった。GEは10年以上にわたり構造改革に励み、事業の「選択と集中」を進め、1980~90年代にトップを務めたジャック・ウェルチ氏が築き上げた巨大なコングロマリット(複合企業)の解体を進めてきた。

フラナリー氏は6月、取締役会の支持を受けてGEを実質的に航空機と電力の2部門体制にする計画に着手。ヘルスケア部門の分離と、米石油サービス大手ベーカー・ヒューズの株式62.5%の売却を決めた。

カルプ氏や、GEの筆頭社外取締役に就任したアメリカン航空のトーマス・ホートン元会長は声明で、この計画を堅持することを明言した。しかし彼らはGEの経営改善には大幅なスピードアップを求めている。

メリウス・リサーチのスコット・デービス氏は1日、フラナリー氏の問題対処スピードは切迫感がないように映っていたと指摘。「フラナリー氏は組織内の人間であり、特にコスト面に関して難しい決断を下すのが遅く、電力事業の立て直しでは大きく出遅れた」と述べた。

フラナリー氏は大半のビジネスジェット機の売却や役員への社用車提供の打ち切りなど、象徴的なコスト削減策を表明した。だが、その規模は大胆とはいえなかった。18年に20億ドルのコスト削減を計画していたが、17年のグループ全体のコスト440億ドルの5%未満にすぎなかった。

利益率も低下しつつある。18年4~6月期の産業部門全体の利益率は前年同期比1.6ポイント減の10.4%だった。

最も深刻な問題を抱えているのは電力部門だ。イメルト時代の17年にはすでに減益に陥っていたが、フラナリー氏のCEO就任後さらに悪化。脱多角化を進めるGEにとって、電力部門の成否はグループ全体の健全性を左右する。

■主力のガスタービンでも苦境に

GEはこれまで発電用ガスタービンを主力としてきたが、この市場は苦戦を強いられている。風力発電や太陽光発電のコストが下がり、化石燃料発電に対する競争力が高まっているうえ、先進国で電力需要が伸び悩むなかで発電所に新しく装置を投入する必要が減っているからだ。アジアの大部分など電力需要が伸びている地域では、石炭の方がガスよりもコストが低い場合が多い。

さらに、GEはガスタービンでも地位を保てなくなりつつある。今年は三菱日立パワーシステムズに押され気味だ。

フラナリー氏は5月、新規ガスタービン市場は20年まで「非常に難しい」との見方を示しながら、その後も具体策に着手しなかった。昨年12月には、市場の変化に対応して電力部門の人員1万2000人を削減すると発表したものの、その後も状況は明らかに悪化している。

加えて、9月にはテキサス州の発電所で、GEの最新鋭ガスタービン「HA」のブレードが故障した。この発電所のほか同じ機器を使用している発電所1カ所も操業を停止し、GEはこの問題が他のHAにも影響を及ぼすとの見方を示した。

ブレードの故障自体は深刻な問題ではなかったといえる。こうした高性能な機器の投入初期には、問題はつきものだからだ。だがこれは、GEの電力部門が能力を最大限に発揮していないという印象を強めた。GEはここ数年、財務上の問題が相次いでも、技術の品質が問題になることは一度もなかった。今回の問題で、その実績に傷がついた形となった。

取締役会が先週、電力部門の状況について説明を受けたことが、フラナリー氏へのダメ押しとなった。電力事業ののれん代約230億ドルのほぼ全てを償却し、キャッシュフローと収益見通しを下方修正するという内容だ。

米CFRAリサーチのアナリスト、ジム・コリドール氏は「これらの問題はフラナリー氏の任期中に発生したわけではない」と同情を示す。フラナリー氏は06年に分離した保険事業の負債や、金融危機前の住宅ローン融資を巡る捜査など、トップ就任のはるかに前に起きた問題への対応を迫られた。

フラナリー氏はこうした問題を乗り越えるための説得力あるプランを示せなかった。GEトップに就いていた短い間に、同社の株価は約56%下落。退任が発表された翌朝には12%上がった。

イメルト氏は1日に発表した声明で「電力事業は様々な要因により低迷しており、新体制はその全てに対処できる」と述べ、GEの将来に自信を示した。カルプ氏を称賛するとともに、フラナリー氏に惜別の意を示した。

イメルト氏は「フラナリー氏はCEOの役割を含め、常に最も困難な任務に手を挙げてきた。幸福を祈る」と述べている。

By Ed Crooks

(2018年10月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2018. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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