本庶氏、妥協許さず厳しい指導 「疑問にこだわれ」口癖
科学者に贈られる至高の賞に輝いた本庶佑さんは「疑問にこだわれ」が口癖。厳しい指導姿勢と面倒見のよさをともに知る弟子たちは、ようやく届いた受賞の知らせに歓喜した。

「速報!受賞の知らせを聞いた直後、京都大学のチームに囲まれる受賞者の本庶佑さん」。ノーベル賞の公式ツイッターアカウントは1日、こんな説明を添え、写真を掲載した。20人近いスタッフらに囲まれ、にこやかに親指を立ててみせる本庶さんが写っている。
本庶さんは京都市生まれ。自身が過去の取材に語ったところによると、小学生の頃はガキ大将で、先生から殴られたり、廊下に立たされたりするのは日常茶飯事。多くの同窓生から「いじめっ子」に挙げられたこともあったという。
父や叔父、祖父も医師で京都大医学部に進む。入学後、遺伝子組み換え技術の可能性を示した「生物学の革命」(柴谷篤弘著)に刺激を受けて研究者の道を志した。学部生時代から、日本の生化学を切り開いた京大の早石修博士の研究室に出入りし、研究者としての基礎を学んだ。
研究では厳しい指導でも知られた。「とにかく厳しい。弟子はみな『一日も早く辞めたい』と思っていた」。大阪大大学院教授の仲野徹さん(61)は、京大医学部で本庶さんの助手を務めていた25年ほど前を振り返って笑う。
本庶さんの口癖は「Stick to the question!(疑問にこだわれ)」。他人の理論に注意を向けるのではなく、自分自身が設定した問題に集中するように口酸っぱく説いたという。「とにかく一つ一つの事象を厳しくチェックされる。社会のためになる研究かどうかを追求し、求められるレベルも非常に高かった」
研究を離れると厳しさとは違った一面も。「面倒見がよく、弟子から慕われる存在だった」(仲野さん)
京大の研究室で指導を受けた奈良先端科学技術大学院大准教授の石田靖雅さんも「極めて才能豊かで重要な部分を指摘してもらった。研究に対する集中力は爆発的で、すごいエネルギーだ」と振り返る。妥協を許さず指導する姿が印象的だったという。
趣味はゴルフとワイン。米国留学中に親しみ、のめりこんだ。口癖は「最後はゴルフ場で死にたい」。第2打のショットを打ってグリーンにのった後、その場で倒れるのが理想だと話していた。
プロ野球阪神タイガースの大ファンで、京都市在住のファンでつくる応援団の会長を務めたことも。飲み会のカラオケでは応援歌の「六甲おろし」をよく歌うという。

2022年のノーベル賞発表は10月3日の生理学・医学賞からスタート。4日に物理学賞、5日に化学賞、6日に文学賞、7日に平和賞、10日に経済学賞と続きました。