台風24号で計画運休 情報周知には課題

社会
2018/10/1 19:55
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日本列島を縦断した台風24号。台風の接近に備え、JR東日本は9月30日、「計画運休」を首都圏で初めて全面的に実施した。乗客の安全を優先した取り組みで、事故やトラブルの回避につながった。ただ、発表は運休の8時間前。週初にあたった1日朝のダイヤも大きく乱れ、情報の周知方法などには課題が残った。

京王線が一部運転見合わせとなり、振り替え輸送のバスを待つ通勤客ら(1日午前、東京都調布市)

JR東は原則として風速20メートル以上で速度規制、25メートル以上で運転中止としている。9月30日午前には同日夜からの運休を決め、正午すぎにホームページや駅の電光掲示板などで、首都圏のすべての在来線の運行を午後8時で取りやめることを告知した。

9月30日の運休は在来線1218本に及び、45万4千人が影響を受けた。関西大の安部誠治教授(交通政策論)は計画運休について「これだけの規模では世界的にもほとんど例がない。安全を優先すれば評価できる対応だった」と話す。

1日に都内で内定式を控えていた埼玉県川越市の女子大学生(22)は「安全に配慮してくれてよかった」と話す。前日の30日夜に都内のホテルに前泊する予定を立てていた。運休情報を知り、早めに自宅を出発できた。 告知から運休までの時間には戸惑う声も。クリーニング店に勤める足立区の女性(24)は、運休で1時間早い午後6時での閉店が決まると、仕上げなくてはならない衣類のクリーニング作業を急いだ。「計画運休にするなら、せめて午前中には伝えてほしかった」

西武グループは系列の商業施設で予定していた埼玉西武ライオンズのパブリックビューイングを全て中止。JR東などの計画運休を受けて急きょ午後6時に商業施設を閉館することを決めた。担当者は「リーグ優勝のかかった試合だっただけに残念」と悔やむ。

JR東は9月30日の段階では1日始発から一部を除いて平常通り運行するとしていたが、同日午前4時になって全線の運転見合わせを発表。安全確認した区間から順次再開したが、設備の点検に時間がかかり、通勤時間帯のダイヤは大きく乱れた。新宿駅など混雑のため、構内への入場を一時規制する駅もあった。

一方、JR西日本は30日の計画運休を28日午後2時の段階で告知。「9月30日から10月1日にかけて運転を取りやめる可能性がある」と示唆する「第一報」を、同社ホームページや駅の電光掲示板で報告した。

同社は2014年10月、台風に備えて公共交通機関で初めて計画運休を導入。9月の台風21号などで独自の基準で計画運休を実施している。

今夏からはツイッターで運休の呼びかけを始めた。情報を早めに広く拡散しようと、周辺自治体にも協力を要請。防災担当部署を通じ、事業者や学校への情報拡散も求めるようにした。

安部教授は「台風は刻々と状況が変わるため判断が難しい面がある。計画運休の運用を繰り返し、鉄道利用者のために改善していく必要がある」と話した。

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