マケドニアのEU加盟に新たな壁 国名変更の国民投票無効

ヨーロッパ
2018/10/1 19:02
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【イスタンブール=佐野彰洋】バルカン半島にある東欧の小国マケドニアが欧州連合(EU)加盟に向け新たな壁に直面した。「北マケドニア共和国」への国名変更の賛否を問う9月30日の国民投票は投票率が規定に届かず無効となった。国名変更は隣国ギリシャとの対立を解消しEUに入るために必要。だが、国民投票で正当性を得るのに失敗したことで、反対する野党が勢いを強めそうだ。

国民投票で「北マケドニア共和国」への国名変更には投票した人の大半が賛成。だが、投票率は約37%で、成立に必要な50%に届かなかった。

マケドニアはEU加盟の候補国で、ザエフ首相は加盟を推進してきただけに、国民投票に法的拘束力はないとの立場。投票での9割を超える賛意を理由に「議会が(投票者の)多数派の意思を確認する番だ」と述べ、国名変更に必要な議会での改憲手続きを進めるべきだと強調した。国名変更の改憲を実現できなかった場合は総選挙を前倒しで実施すると表明した。

現状でザエフ氏を支える連立与党は改憲に必要な議席の3分の2を確保できていない。

国名変更を拒否する野党は反発。最大野党であるマケドニア民主党連合のミツコスキ党首は30日、ザエフ氏を非難し、首相から退くよう求めた。

国名変更はザエフ政権とギリシャの合意。マケドニアは1991年に旧ユーゴスラビアから独立した。EUや北大西洋条約機構(NATO)への加盟を目指すが、隣国ギリシャは反対。EU加盟国のギリシャは古代マケドニアを自国の歴史の重要な要素と考え、いまでも国内に「マケドニア」という地域を抱える。

欧米は西バルカン地域でのロシアや中国の影響力拡大を懸念して仲介。6月には国名変更を条件に、ギリシャがEUなどへの加盟反対を取り下げることで合意していた。

ギリシャ国内にも火種はある。同国のチプラス政権の連立与党は強固でない。ギリシャの世論の約7割はマケドニアとの合意に反対。AFP通信によると、チプラス首相は9月30日、ザエフ氏と電話で協議した。合意履行に向けたザエフ氏の「決意と勇気」を称賛したが、国民投票の不成立がギリシャ側の議論に影響を及ぼす可能性もある。

マケドニアのNATO加盟に反対するロシアが国民投票に介入したとの観測も流れる。

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