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エンゼルス大谷、右肘手術の決断支えた「確信」
スポーツライター 丹羽政善

(2/2ページ)
2018/10/1 6:30
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また、そこここに意志の強さがにじむ。トミー・ジョン手術をするという決断を下した9月25日の記者会見で経緯について問われると、「百パーセント、自分が投手としてパフォーマンスを発揮できる状態なのかどうなのか。しないならしないに越したことはないと思いますし、それで自分の百パーセント(の力)が出せるならやらない方がいいと思うんですけれど、そうではないと思った」と考え方の軸を口にした。沈思黙考し、百パーセントへのこだわりが明確になったとき、もはや迷いはない。

さらに、初めに靱帯の損傷が発覚した6月の時点で手術すべきだったのではないかという指摘があることを念頭に置いてか、こう言い切った。

「時期的なものも含めてプラスというか、ベストな選択」

あのとき手術に踏み切っていれば、来季の開幕から指名打者としては間違いなく出場できた。投手としても2019年9月に復帰が可能だったかもしれない。が、大谷は現時点でも手術をしないという選択肢もあったと明かし、同じように判断する医療関係者は少なくないが、あの3カ月半前の時点ではチームドクターも「手術は必要ない」との立場。あのときも大谷は再発もあり得ると覚悟した上で、納得して決断した。

では、9月に再発が発覚したとき、手術に踏み切る選択肢はなかったのか。そうしていたら10月1週目に手術するより、来季の開幕スタメンの可能性は高くなる。

大谷の頭の中には復帰までの青写真が具体的にイメージできているのではないか=共同

大谷の頭の中には復帰までの青写真が具体的にイメージできているのではないか=共同

ただこの9月、大谷はすでに100回近く打席に立っている。その中で結果を残し、手応えを得た。その経験を優先させたメリットは小さくない。そもそも10月に手術を先送りしたとしても、来季開幕から出場する可能性は十分にあるのである。

考え抜いた結論はぶれない

もちろん、いろいろと話を聞く中で、考えが揺れたことはあったのかもしれない。だが、考え抜いた結論がぶれることはない。懐疑的な質問が出れば、それをことごとく論破できるのではないか。

ふと、キャンプ中に野球評論家の権藤博氏から聞いたひと言がよみがえった。

「大谷はいい意味で、頑固なんだ」

アドバイスを与えられてもそれが自分に合っているのかどうか熟考し、自分なりにアレンジを加え、納得するまで突き詰める。その過程では回り道もするが、そうして礎が築かれたときにはもはや、視界が晴れている。

それが大谷翔平。

今回もおそらく、復帰までの青写真が具体的にイメージできているのではないか。今の自分を超えられるという百パーセントの確信とともに。

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