トルコ「経済協力重要」、独は難民抑制期待 首脳会談
両国関係改善、人権問題がハードルに

2018/9/28 23:00
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【ベルリン=石川潤、イスタンブール=佐野彰洋】トルコのエルドアン大統領が28日、ベルリンでメルケル独首相と会談した。エルドアン氏は記者会見で「経済分野でのドイツとの協力がとても重要だ」と指摘。トランプ米政権との関係悪化で経済が苦境に陥るなか、国際的な孤立を避けるためにもドイツとの関係正常化を急ぐ。難民の流入抑制でトルコの協力が必要なドイツも前向きだが、人権問題などのハードルが残る。

トルコのエルドアン大統領(右)はドイツのメルケル首相と会談した(28日、ベルリン)=ロイター

エルドアン氏の公式訪問は2014年の大統領就任以来、初めて。メルケル氏も記者会見で「トルコの経済的な安定はドイツの利益」と述べ、冷え込んでいたトルコとの関係改善に応じる姿勢をみせた。ただ、メルケル氏は「深刻な意見の相違がある」とも言及し、人権問題の改善に取り組むようにクギを刺した。

エルドアン氏がドイツとの関係修復を急ぐ背景には、トルコが拘束している米国人牧師の解放を巡るトランプ米大統領との対立がある。米国は追加関税などの対トルコ制裁に踏みきり、トルコ経済は通貨リラが年初から対ドルで約40%も急落する「トルコショック」に見舞われていた。

通貨安とインフレの悪循環に陥り、長期政権のよりどころだった経済も19年のマイナス成長がささやかれるまでに悪化してきた。経済再建が不可欠だが、米国の影響が強い国際通貨基金(IMF)への支援要請は避けたい考えで、ドイツ、欧州との関係改善が不可欠になっていた。

ドイツにとってむげにできないのは「300万人を超えるシリア難民の受け入れでトルコが抜きんでた役割を果たしている」(メルケル氏)ためだ。欧州には15年に数百万人規模でシリアなどから難民が押し寄せて大混乱に陥ったが、欧州連合(EU)がその後トルコと協定を結び、流入にブレーキをかけた。経済危機でトルコが不安定になれば、防波堤が崩れかねない。

エルドアン氏は訪独に先立つ17日、ロシアのプーチン大統領とシリア北西部での非武装地帯(DMZ)設置で合意。アサド政権による反体制派への総攻撃を回避し、難民の増加を防ぐという「お土産」も用意していた。

ドイツ国内には300万人のトルコ出身者が暮らし、エルドアン氏の支持者が多い。独トルコ関係の改善は、移民問題を巡って分断が進むドイツ社会の安定につながる面もある。

EU加盟国でもないトルコをドイツが支援することは難しい。反トランプ連合のように受け止められれば、トランプ氏から貿易問題で思わぬとばっちりを受けかねない危うさもある。それでも関係改善が進めば、トルコに進出するドイツ企業に安心感が広がり、経済の悪化に歯止めをかけられる可能性がある。

2年前のトルコのクーデター未遂をきっかけに強権的な姿勢を強めるエルドアン氏に対し、ドイツ国内で人権問題の改善を求める声が強いこともネックだ。メルケル氏はトルコで拘束されているドイツ人の解放を繰り返し要求している。

一方でエルドアン氏は、クーデター未遂の首謀者とみているギュレン派がドイツ国内に多数いると指摘。ギュレン派は「テロ組織」だとしてドイツに引き渡しを求めた。ベルリンでは28日、エルドアン氏に抗議する1万人規模のデモが計画されており、両国の関係改善にはハードルも多い。

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