「非核化・見返り」駆け引き再び 米朝、首脳再会談の調整加速

2018/9/28 19:27
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【ニューヨーク=永沢毅】米国と北朝鮮がトランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長の2回目の首脳会談に向けた調整に入る。ポンペオ国務長官は10月に訪朝し、膠着している非核化交渉の打開へ地ならしを進める。北朝鮮がかねて求めてきた朝鮮戦争の「終戦宣言」などの見返り措置とあわせ、駆け引きが再び始まる。

27日、ニューヨークの国連本部。「トランプ大統領の指示を受けて訪朝し、金正恩委員長と面会して外交プロセスを加速する」。ポンペオ氏は北朝鮮に関する国連安全保障理事会の閣僚級会合でこう説明し、米朝再会談に向けた調整を急ぐ考えを示した。

6月の初会談で金正恩氏は「完全な非核化」を約束したものの、具体的な取り組みは進んでいない。再会談ではどこまでそれを詰めて合意できるかがポイントになる。

一つは非核化の完了期限だ。9月5日に訪朝した韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長に対し金正恩氏はトランプ氏の任期である「2021年1月まで」との考えを示したとされる。ポンペオ氏はこの期限を金正恩氏が約束したと主張しているが、米朝間で明示的な合意があるわけではない。

期限を区切れば、核弾頭の解体・搬出といった取り組みの工程も明確にしやすくなる。ただ、トランプ氏が26日の記者会見で非核化期限は「重要ではない」と述べており、北朝鮮を利する懸念もある。

非核化の実効性を確保するためのもう一つの柱が、国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れだ。9月の南北首脳会談で北朝鮮は寧辺(ニョンビョン)核施設の「永久的廃棄」を表明した。ポンペオ氏はこれに「米国とIAEAの査察官の立ち会い」が伴うとの見解を示しているが、南北の合意文書にこの部分はない。

そもそも、査察には全ての核施設を含めた核計画の申告が欠かせない。米国は繰り返し申告を要求してきたが、北朝鮮は応じる構えをみせてこなかった。

このため米政府内には北朝鮮から譲歩を引き出すためにはなんらかの「見返り」が必要との見方も根強い。米国による敵視政策の転換と体制保証につながる朝鮮戦争の終戦宣言はその候補の一つだ。

24日に開かれた米韓首脳会談でも議題となり、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領はトランプ氏に早期実現を働きかけたとみられている。北朝鮮は寧辺核施設の永久廃棄の条件として米国に「相応の措置」をとるよう求めており、休戦協定の平和協定への転換を期待している可能性もある。

経済再建を急ぐ北朝鮮にとって制裁緩和・撤廃のメリットも大きい。「制裁緩和を検討する必要がある」。27日の安保理会合で中国の王毅国務委員兼外相はこう唱え、北朝鮮を後押しした。トランプ政権は「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」(CVID)という言い回しを避けるようになったが、非核化まで制裁を維持する方針は堅持している。

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